「エイリアン2」。監督はお馴染み「アバター」のジェイムス・キャメロン。その彼の妻が、同業の映画監督キャサリン・ビグロー。この女が超1級のくせ者だ(これ褒め言葉)。彼女は2008年「ハートロッカー」というイラクの最前線に駐留を続ける米軍爆弾処理班の危険で過酷な任務の姿を冷静に、愛国主義的なアメリカから離れた目線で、描いた作品を発表する。

映画も壮絶だが、まだまだ、男性社会のハリウッドの職人達(スタッフ)を統率して灼熱のイラクでロケーションを敢行。劣悪な自然環境、戦場が近いという恐怖、そして自分の技術に自信を持つ男達の従えての撮影は壮絶で過酷だったはず。翌年だんなの「アバター」と並んでアカデミー賞候補に選ばれ、夫の作品の前評判をこてんぱんに叩きのめし、受賞をかっさらう。その受賞シーンの彼女。でかい!筋肉質!なるほどな〜このパワーと知性があれば、稚拙な物語「アバター」如き赤子の手をひねるより簡単。

で、話は86年発表のだんなの「エイリアン2」。ヒロインの名はリプリー。また、彼女がとてつもなくタフで強い。エイリアン軍団にへなへなに萎んでゆく海兵隊兵士を統率し、うじゃうじゃ出てくるエイリアンと戦う。おそろしくカッコイイ!この姿、だんなから見た愛妻の、日夜アホバカなハリウッドの貸本の亡者と奮戦努力する姿を投影した、愛妻へのオマージュに近いものと私は読んだ。

しかし、ナイーブな感じのだんなは、この強い妻に耐えきれなくなり、そして憎しみが芽生えた、と私は推測する。で、リプリーがエイリアンにバリバリ食い殺されるラストにしてしまおう、と考えた。しかしながら、はいリプリーはエイリアンに食べられました。めでたし、めでたし、なんて映画はハリウッドの論理では許されないばかりか、観客にも背をむけられてしまう。で、ラストは、クィーンエイリアンとリプリーの宇宙船での壮絶な殴り合いの末エイリアンが船から放り出され、一件落着となる。この落ちてゆくエイリアン、いつか、この妻に放り出される監督自身のみじめな姿が投影されている。

と思っていたのだが、再度データを調べると、この二人が結婚したのはこの映画の数年後だったことが判明した。つまり私の推論は見事外れたことになる。しかし、この時の彼の女房は、ゲイル・アン・ハードという映画プロデューサー。ハリウッドでは数少ない女性映画製作者。やっぱ、タフな女性なんだろう、と考えると私の推論はあながち間違ってないように思える.。

 この映画のラストを観るたびに、俺はなんて女に惚れてしまったのかと、苦しみながら堕ちてゆくキャンロンがオーバーラップされ涙を禁じ得ない、つらいSF映画になってしまった。(店主)

 

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