想田和弘監督の「Peaceピース」を観ました。この人のドキュメンタリーは、観察映画と言われているのですが、その通り、ただただ事実を観ていくだけの映画です。(第1作「選挙」も面白かった!)

 ドキュメンタリーといえども、普通は脚本と、サンプルの映像等を企画にあげないと予算がつきません。お金を出して作る以上それは当たり前。ナレーションも音楽も入れて、落としどころを作っていくものでしょう。想田監督はそれがイヤみたい。音楽なし。説明なし。予定調和一切なし。突然終わるし・・・。

 「Peaceピース」の主な登場人物は、障害者や老人にヘルパーを派遣するNPOを運営する夫婦で、想田監督の妻の両親だそうです。もう一人、義母がヘルパーに入っている91歳の独居の男性。この人は末期の肺がんなのですが、タバコが唯一の愉しみで、愛用しているのは「Peace」。平和を意味するタバコを吸いながら、彼は戦争の思い出を語ります。しかし、これもすべて偶然。観察を続けているうち、こういう日常に行き当たるって感じで、映画はどんどん進んでいくのです。

 一方、義父が餌をやっている猫たちの、庭先で繰り広げられる様子が、この映画の大きな魅力です。淡々と映される猫の生活と、独居老人の生活と、老夫婦の生活。お互いの距離を保ちながら、尊重し、生を全うすることの不思議な温かさを感じました。それぞれが、それぞれの暮しを、同じ空の下で過ごしているっていうのかな。あ!これが、もしかしたら「Peace」ってことか?! (女房)

☆「Peaceピース」はただ今京都シネマで上映中です。

☆ 写真は、大家さんちの庭の南天。平和な晩秋の一コマです。

Tagged with: