ベン・シャーンは社会派のアーティストと言われています。映画「死刑台のメロディ」になったサッコとヴァンゼッティの裁判を描いた一連の絵はよく知られていますし、大恐慌時代のアメリカの市井の人々をたくさん描いています。

 

レコードジャケットやポスターもいっぱいデザインしていて、ファンも多いと思いますが、ベン・シャーンの描く線は本当にカッコよくて、色のセンスが抜群で、どれもこれも大好きです。

 

でも、今回のベン・シャーン展で、とりわけ心に沁みたのは、1954年、アメリカが、マーシャル諸島のビキニ環礁で行った水爆実験で被爆した、遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」事件を扱ったLucky Dragon Sriess(ラッキードラゴン)でした。

 

この作品をみた人は、きっと3/11を思わずにはいられません。空にモクモクと湧き立つ黒い雲は、そのまま原発の放射能の恐怖を、ベッドに座る第五福竜丸の船長久保山さんの絵は、被爆した全ての人の苦悩を、思い起こすことでしょう。そして、久保山さんの墓に供えられた白い花は、多くの犠牲者にささげられた鎮魂の花だと、思い当たるのです。

 

私は知らなかったのですが、50年後、このベン・シャーンの第五福竜丸の絵にアーサー・ビナードというアメリカ人が詩を付けた一冊の絵本があります。美術館のショップで見つけた「ここが家だ」(2006年)。ベン・シャーンの絵と、その絵に触発されて書いた言葉が、ストレートに心に届いて感動します。(女房)

 

 

☆ベン・シャーン展

2012年2月11日〜3月25日 名古屋市美術館

2012年4月8日〜5月20日 岡山県立美術館

2012年6月3日〜7月16日 福島県立美術館

 

 

 

Tagged with: