倉敷のちょっとノスタルジックな市街にある小さな古本屋さん「蟲文庫」の店長、田中さんが本を出されました。「わたしの小さな古本屋」(洋泉社)というタイトルです。お店には、昨年お邪魔しました。小さな店に、天井まで本がぎっしり。そして、店長と猫がお出迎え。静かに流れる時間。ちょっとした森に入って、古木の間で一人佇んでいる感じの、い居心地の良さ。

最近の風潮は、入店するや否や、でっかい声で「いらっしゃいませ〜ぇ!!」と一人が言えば、他の従業員まで、やまびこみたいに「「いらっしゃいませ〜ぇ!!」「やかましい!」と何度言いたくなったことか。マニュアル化された口だけの接客なんて、やらない方がまし。本屋は静かであるべきだと思います。蛇足ですが、有線でBGM流している書店がありますが、言語道断。本を読むのにいい音楽を探すのも本屋の仕事でしょうが!

この本でいい文章を見つけました。                                      「その先に未来はないとわかっていながら高速道路を走り続けているような世の中で、そこからあえて外れ、立ち止まる。」そんな一瞬を古本屋は作れると彼女は信じています。立ち止まって見上げた書架にある一冊の本と目が合う、その時から新しい世界がひろがってゆくなんて楽しいことですね。彼女はこの古本屋の帳場に座り続けて18年。私はまだ10日です。でも、思いは一緒です。並べた本が、醸し出すゆったりした時間って素晴らしいものです。

 この本を銀閣寺の「善行堂」さんで買ったら、なんと田中さんのサイン入りで、しかも初代看板猫のナドさんのポストカードが付いていました。ちょっと前に田中さんと善行さんの対談があり、その時のサイン本です。ナドさんいい顔です。さて、我が店の看板犬マロンも、先日店先で初お目見え。道行く散歩女子に、カワイイ!と撫でられ、写真取ってもらいと人気者でしたが、誰も店に入ってこない。営業妨害犬になりつつあります。(店主)