先日、春田太一「天才 勝新太郎」(文春新書)を買われたお客様が、「マスター、こらぁオモロい」と来られました。そんなに、勝新には興味なかったけど、「座頭市」見直そうとレンタルショップへ行かれたそうです。

先日、大阪の古本市で格安コーナーで、またこの本を見つけました。まぁ、失敗してもこの値段ならいいや、と思い帰りの阪急で読み出しました。ほんま、面白い。タイトル通り天才ですね、彼は。TV版「座頭市」には台本がなく、臨機応変に、現場で勝の頭の中にあるイメージがシナリオ化されていくという事実に先ずびっくり。TVで昼間再放送していたのを観ましたが、なるほどね、あのスピーディな展開はここから来ていたのか!しかも、勝は自ら編集までしていた。制作、主演、編集とほぼ独裁的立場で飽くなき作品の質を高めようとしていた。

勝が大映入社時、彼の前には市川雷蔵という大きな存在がおり、常に意識し、追いつき追い越そうとして挫折する。雷蔵が溝口健二、市川崑らの巨匠と素晴らしい仕事をしていたため、彼も挑戦するもどれも失敗。それでも、エキサイティングな映画目指して奮闘努力する姿は、小説を読む楽しさです。やがて、安部公房の「砂の女」で高い評価を得た勅使河原宏と組み、やはり安部公房原作の「燃え尽きた地図」に主演する。映画は失敗するも、映画制作者への欲望に火が付き、初監督作品「顔役」への道を一直線に進む。

濃い、とても濃いお話ですが、人生一直線、しゃにむに突っ走れ!で爽快です。阪急電車が烏丸駅に着くのが惜しい!!読み終わったら店に出します。300円です。最初に買われたお客様が、帰り際に「こんな本あったら。置いといて」と言われた。えっ、こんな本ってどんな本? ギラギラして、猪突猛進で、しかも爽やかな人なんていませんよ。

Tagged with: