数年前に、大阪の古本市で布施英利著「鉄腕アトムは電気羊の夢を見るか」(晶文社2003年)に出会った。

「電気羊の夢を見るか」は、映画になった「ブレードランナー」の原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」から引っ張っている。タイトルから分かるように、鉄腕アトムとブレードランナーをキーワードに構成されたサイエンスエッセイだ。第三章「アトムは夢を見るか」はスリリングな章だ。サイセンスものにしては、文章は読みやすいし、挿入されている写真も面白い。値段も安い。購入しようと思い、中を見るとカラーマーカーの痕跡だらけ。こりゃ、だめだと購入を断念する。その後、この市では売れずに残り続けた。他の市でも見かけることなく、もう入手は無理と思っていた先日、京橋の市で巡り会いました。おそるおそる中身を見ると、きれいでした。待っていてくれたんだ、そんな気分になりました。900円でお店に出しました。

お店をやろうと思い立って二年半の間に、汚くて諦めたり、高かったり、あるいは後で買おうと思って戻ったら誰かにさらわれたりと再会の時を待ちながら、巡り会った本が何点かある。山田稔「シネマのある風景」(みすず書房2000円)、野地通秩嘉「エッシャーが僕らの夢だった」(新潮社700円)、中川素子「本の美術誌」(工作舎1500円)、天野忠詩集「うぐいすの練習」(編集工房ノア3000円)なんかは、そうやって再会した本達だ。いい読者に巡り会えたらいいね。