たまには、分厚い本を読んでみましょう。

お薦めはスポーツライターの故山際淳司の「スポーツノンフィクション傑作集成」(文芸春秋社95年発行)。全ページ796項で3000円。1ページに換算すると、約4円のお買い得。

山際は、ご存知のようにスポーツノンフィクションに一つのスタイルを作った作家です。特に「Suports Graphic Number」誌創刊号に載せた「江夏の21球」で注目され、そのストイックな文体で人気を呼びました。野球、ボクシング、サッカーありとあらゆるジャンルのスポーツを取材し、対象にのめり込む事なく、山際の視点で躍動するアスリート達の喜び、挫折を描いてきました。スポーツに興味なくたって、この人のノンフィクションは読めます。「江夏の21球」からお読み下さい。この時の日本シリーズ知らなくても、いや、野球知らなくても、まるであの球場にいて、何が起こりつつあるのか、そのサスペンス。大味な昨今の映画や、サスペンス小説に負けません。因みにページ数は9項で36円!たった、36円ですぞ、この興奮を味わうのに。

蛇足ながら、この作品はアメリカで映画にしてもらいたい。ハリウッドの野球映画と、「地獄の黙示録」までの戦争映画には絶対の信用を置いています。日本シリーズに出場する近鉄バッファーローズの監督役にはウォルター・マッソー、広島カープの監督にはトム・ハンクス、最後のバッター石渡にはロバート・レッフォード、江夏のキャッチャー役にはフィリップ・シーモア・ホフマン、そしてフーァースト衣笠にはケヴィン・コスナーと野球映画の名演で知られる俳優達が競演すればワクワクです。でも、肝心の主役の江夏に匹敵する役者が想像できません。それだけ、このノンフィクションの江夏の描き方が優れているのかもわかりませんね。

文庫片手の読書を楽しむのもいいですが、たまには分厚い本と格闘するのもいいものです。枕にもなるし、お店も儲かるしね。

 

 

 

 

 

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