「ル・アーブルの靴磨き」を観に行きました。大人の映画だ。

お話は簡単。不法入国してきたアフリカの少年を、逃がしてやる主人公と、その町の人々を描いただけ。満足なシナリオの書けないハリウッド映画や、おせっかいな日本のTVドラマならきっと、何故主人公と彼を取り巻く人々が、少年を救うかを延々説明して、は〜い、こんな美しい話です、感動しましょう!と迫ってきます。

しかし、この映画には一切その説明はありません。みんな、淡々と行動するのみ。主人公は港町のしがない靴磨き。彼の生活圏にあるパン屋も八百屋も、一杯飲み屋も、もう下町の質素なお店ばかり。そして、当然みんなお金はない。映画は、彼らの日々の暮しを、徹底的にリアルに描く。そこへ、飛び込んで来た少年一人。聞けば、英国の親戚に行きたいとの希望。ならば、お手伝いしましょう、とごく自然に行動する。リアルとファンタジーの同居みたいに映画は進行。皆が、フツーに、ハイハイ分かりましたとばかりに動く。理由の説明は一なし。

非現実的、と思われる方もおられるでしょう。でも、助けないより、助けた方がいいもんね、という個々の人々の判断が連帯し、やれる事やりましょ、という行動へと、大げさではなく、何度も言いますがフツーにつながるって、大人ですね。

そして、ラスト、絶対に並の監督ならこんなエンドは用意しません。あ、はっ、はっ、のハッピーエンディング。妻が不治の病で入院。無事、少年を脱出させて病院へ急ぐ主人公。ベッドはもぬけの殻。で、ラストは、フツーならこうは絶対、絶対にあり得ません!。

あっ、はっ、はっと笑う花さか爺さんの声が聞こえそうですが、なんとラストは爺さんが登場しそうな桜の花。こんな、人を喰ったような映画を作ったのはフィンランドのアキ・カウスマキ。久々にオフビート映画を楽しみました。

 

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