国旗みたいに洗濯物を掲げて愛国心向上を目指すわけではありません。

昨年夏、我が家の解体と建築のため、東福寺のA教授のお宅に居候していました。居候を始めたのは8月後半の、まだ猛暑が続いている日でした。仮住まいスタートの翌日の朝でした。A教授宅では、洗濯物を野外に、しかもかなり高い高さにある物干に掲げることが出来ることがわかりました。洗濯物を竿に通し、せぇの〜で、まるで空中に放り出すように掲げると、その後ろから夏の太陽光線がキラキラと降り注ぐというメルヘンチックな光景を楽しむことができるのです。風になびく白いタオル。宮崎アニメ「となりのトトロ」や、小津安二郎の「東京物語」にも出てきますね。

風にたなびく物体を、高く掲げるという行為は、人をして高揚させるのかもしれません。古いハリウッド映画「硫黄島の砂」では、最後に激戦の地の山頂に、皆さん良くご存知のアメリカ国旗がたなびくシーンが登場します。まぁ、これはハリウッド的な愛国精神高揚の典型ですが、数年前にC・イーストウッドが監督した「父親たちの星条旗」を観ると、戦費獲得のためのデモンストレーションに利用され、その現場にいた兵士達は、国の宣伝道具として散々引っぱり回され、戦後悲惨な人生を余儀なくされたことが描かれていました。

アイルランド出身のロックバンドU2は、初期のライブで、「ブラディ・サンデー」を歌う時に真っ赤な旗を高く掲げていました。これは北アイルランドで起きた英国軍による虐殺事件「血の日曜日事件」への抗議の意味合いを持っていました。

映画「ラストエンペラー」では、中国共産党による中国統一後、喜びに狂喜し、絶対的に毛沢東を崇拝する若き近衛兵達が、出来たばかりの真っ赤な国旗を振りかざして、町中を行進します。ファナスティックでありながら、どっかで陶酔してしまいそうな危ないシーンでした。

ま、妙なものを振りかざすぐらいなら、洗濯物を高く掲げて、今日も一日好天で、平和ですねぇ〜と空を見上げていたいものです。

 

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