これ、青幻舎の新刊「松丸本舗主義」の帯の文句です。著者は松岡正剛。全ページ500項。松岡が挑んだ新しい書店の興亡が、スリリングです。

丸善書店グループ全店を仕切る関西人ダケヤマさんが「松丸書店という名前どうでっか」と切り出し、松岡氏が「それなら書店じゃなく、本舗でいきたい」と答えたところから、すべてが始まります。2009年、丸の内の丸善書店の中に、65坪程の「松丸本舗」を作るプロジェクトがスタートします。松岡氏サイドの条件はたった一つ。「三年間は好きにやらせてほしい」。全国有数の巨大書店チェーンならでこそ可能な企画ですが、売り上げトップの本丸的存在の店舗に、ショップ・イン・ショップを作って、オーナーサイドは一切口を出さないなんて、そう簡単に出来る事ではありません。しかも、松岡氏独自の編集工学という新しい思想の元で、スタートするとなれば、なおさらです。

棚作りの話は、とても刺激的です。文庫、文藝、生活という、よくある書店の棚作りなんて全く無視して、文脈を持った棚作りに着手する。これは、私も新刊書店員時代に挑戦しましたが、一言で言えば、読書欲を掻立てる棚ですね。一冊、一冊を関連づけ、次からつぎへと手に取らせて行く棚と言えばいいんでしょうか。しかし、これはかなり難しい。やり過ぎると独りよがりになるし、ある程度、読者より前を進まなければ飽きられるということを、日々行うのは大変です。自分の企画を自慢せずに、冷静に淡々と進めていかなければなりません。

松丸本舗構成案の中にこんな文章があります。

松丸本舗が来店者に与えるイメージとテイストは「深い、凄い、柔らかい、変」である。

これは、レティシア書房がやりたいことでもあります。我が店は、一応古書メインですが、貴重本やら初版本の在庫に重きを置いてません。また、古書に拘るつもりもありません。ミニプレスも、新刊本も、CDも扱って一つの宇宙を作ってゆく店です。少し幸せな気分になってお帰りいただくのが仕事です。そのためのギャラリーであり、本です。特に「柔らかい」店でありたいと思います。

話を戻します。このとんでもない企画で出発した松丸本舗が、多くの人の情熱を巻き込み、開花し、そして散って行くまでを店の写真を多様しながら、本と読者はどうあるべきか、という問いに挑戦して行く様は、もう大長編の小説並みです。(私もその途中でワクワクです)

地元京都の青幻舎は、美術、アート系に強い、私の好きな出版社です。そこがあえて出版した意欲を高く評価します。この内容で1890円は丸っぽお買い得です!本というものを溺愛する諸氏には必須の一冊です。

年末まで、正面棚でどかんと販売します。買いに来て下さい。

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