妻は交通事故で意識不明。二人の娘は、仕事一辺倒の父親に距離を置いている。どうしていいか分からない彼に告げられた、妻は浮気をしていて離婚するつもりだったという驚愕の事実。もう、かなりギリギリ状態のお父さん。舞台はハワイ。そして、聞こえて来るはハワイアンギターが奏でるホワ〜ン、ホワ〜ンした音楽。シビアであるのに、何故か滑稽です。映画「ファミリーツリー」のお話です。

これが、ニューヨークみたいな大都会が舞台なら、救いがたい展開ですが、なんせ舞台はハワイ。穏やかな気候と、心地よい風、多くの親戚、そして音楽が、人生の滑稽さを浮き出させて、笑える状況じゃないのに可笑しい。人生の真実ってこんなもんね、と言うところでしょうか。

ここで話は飛びます。ハワイの音楽と言えば、ハワイアンですが、伝統的な奏法によるギターサウンドは、人の気持ちを和ませます。このギター奏法で、日本人が見事なハワイの音楽を作りました。山内雄喜の「プレイズ・ザ・スラック・キー・ギター」というアルバムです。この風土、この紀行ならではの穏やかさが醸し出すサウンドは、エキサイティングでもないし、感動するものではありません。しかし、人を大地の根っこに導いて、優しく、どこまでも優しくしてくれます。人の邪魔をしない、けれど、人を安心させる絶妙の音楽ですね。

ここで、話は、さらに飛びます。ハワイと言えば、私にはアメリカのテレビドラマ「ハワイ・ファイブ・オー」です。確か大阪ガス提供の「刑事コジャック」の後番組でした。ラロ・シフリン(だと思う)のオープニングテーマ曲と映像がかっこ良い連続ドラマでした。この時代のアメリカドラマはどれも、オープニングのサウンド、映像とも、「お〜カッコいいぜ!!」と唸らせるものばかりでした。先の「刑事コジャック」、「スパイ大作戦」等々、これらの番組のおかげで、映画のオープニングフェチになってしまいました。今だにタイトルバックの出方が一番ドキドキします。

映画のオープニングと言えば、デザイナー、ソールバスが手がけた作品は圧巻でした。躍動感が隅々にまで溢れていました。「ウェストサイド物語」のオープニングと言えば、あ〜あれか!と思い出されることと思います。店に一点だけ作品集がありますので、その素晴らしさを見て下さい。この人の映画ポスターは、どれも見事です。

 

そして、話はさらに飛びます。映画ポスターですが、今京都国立近代美術館で「日本の映画ポスター藝術」と題した展示会が行われています。これは、お薦めです。戦前のものから、和田誠や横尾忠則の手がけた作品まで並んでいます。映画を知らなくても、けっこう楽しめます。写真は、漫画家の上村一夫が手がけた「シェルブールの雨傘」です。なんか、日本的な情緒綿々たるポスターです。メイン展示の山口華楊の素晴らしさを堪能した後4階に上がるのをお忘れなきように。

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