2013年最初の個展は、滋賀県在住のひらやまなみさんの木版画展「空と樹」。

宮沢賢治の小説の「雪わたり」ご存知でしょうか。「堅雪かんこ、しみ雪こんこ」の台詞で始まるお話で、狐の森のパーティーに招待された子供たちと狐の交流を描いたものですが、その子供達が出てきそうな冬の家を描いた「静かな夜」という作品が、お出迎えです。夏葉社が昨年出版した「冬の本」の表紙を飾る和田誠が持っている、暖かい気持ちにさせてくれます。

やはり賢治の小説に「月夜のでんしんばしら」というユーモアあふれる作品があります。電信柱同士の会話?を描いたものです。彼らが話をするのは夜ですが、「星空」という作品を見ていると、この話を思い出します。作品は、星空を見上げる母娘を描いたものですが、小説に出てくるひょうきんな電信柱が「や〜元気」と登場して、電信柱踊りでも踊りそうな感じです。澄み切った青空をバックにして、踊り歌う母娘と電信柱の微笑ましい一時に、参加してみたいものです。

そして「木もれ日」という作品を柱に飾りました。もうこれは、賢治の小説なら「鹿踊りのはじまり」を思い出します。

「ざあざあ吹いていた風が、だんだん人のことばにきこえ、やがてそれは、いま北上の山の方や、野原に行われていた鹿踊りの、ほんとうの精神を語りました。」

きっと、この木の下で、鹿達と一緒に酒を酌み交わしたらうめぇ〜だろうと思います。

展示会の最後に飾ってあるのが「青の時間」。これは、北欧の童話を思わせます。大きな木が、ちょっと恐いような、寂しいような、でもこの木の横にある小さな家を守っているような、いろんなストーリーが浮かび上がります。

身近な人の温もりを感じ、自然の営みに耳を傾ける作家の日常が、優しい木版画になって、本屋のギャラリーもほっこりしています。

ひらやまなみ木版画展は、1月13日(日)まで。

なお、木版画詩文集「きょうもいい日」(ひらやまなみ 1470円)販売しています。

 

 

 

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