昨年、当ギャラリーで写真展をしていただいたKyo Nakamuraさんの新しい写真集が発売されました。タイトルは”Rose de Reficul et Guiggles”。(2940円)

即興無言歌劇パフォーマンスとして活動するRose de Reficul et Guigglesを撮った作品集です。表紙の写真(撮影場所は京都府庁)は、まるで「オペラ座の怪人」のワンカット、あるいはゴシックホラーの名手ティム・バートン監督の「スゥイニー・トッド」を彷彿させるよう。中を開くと、このユニットの多種多様な姿態を観ることができます。グロテスクであり、スタイリッシュであり、妖艶であり、と堪能させてくれます。

どこか恍惚とした表情で、白塗りの男が窓枠を齧っているこの写真は、ほぼ白黒で捉えた美しいNakamuraさんの世界。あるいはRose de Reficul et Guigglesの白塗りの面々が海岸を散歩している、ユーモアがありながら、どこか寺山修司の「田園に死す」を想起せめるよう作品、お、ジョニー・デップと!思わせるシルクハットにに燕尾服スタイルの男が滲ませる冷めた狂気を映し出す作品と、どれもかなり楽しい。

私のお気に入りは、ゴシックロリータ系の少女が古い民家の玄関から顔を出して、一点を凝視している一枚です。全体的にセピア系の色合いでコントロールされた作品で、湿気を含んだ雨を十分吸い込んだ木造の玄関が放出する重い空気感。このまとわりつく感じ、たまりません。

不思議と生々しい匂いはなく、死の薫りも感じない。そこはこの世界とパラレルで存在しながら、閉じた空間で、ふと足下(もしかしたら頭の中)の穴に気づいた者だけが滑り込んでいく場所。

Rose de Reficul et Guigglesとのコラボレーションは、間違いなくKyo Nakamuraさんの世界をさらに深めていく幸せな出会いであったと確信させる写真集です。

Tagged with: