読書の秋に、文庫が入荷しました。

参考書で有名な旺文社は、以前文庫も出版していました。写真は夏目漱石の「明暗」。現在出版されている文庫は一冊にまとめられていますが、昭和43年発行のこの文庫は、上下2で、各巻末に詳細な作品論、作家論、年譜が付属していて、いかにも学習参考書の老舗出版社らしい作りです(1000円)。同時に、ウェルズの「タイム・マシン」(500円)、ポーの「黒猫」(300円)、O・ヘンリーの「短編集」(200円)も入りました。文学全集盛りの頃の、挿絵や詳しい解説など、その時代の香りが一杯です。

ちょっと珍しいのは、「クマのプーさん」でお馴染みのA・A・ミルン唯一の推理小説で、トリック崩しの名作「赤い館の秘密」(500円)。劇作家としてスタートしたものの、鳴かず飛ばず。1921年発表のこの長編推理小説の成功を足がかりにして、表舞台へと登場してきました。こちらも、旺文社文庫です。

え、こんな作家がこんな本書いていたの!?というのが一冊ありました。名エッセイスト山田稔の翻訳で知られるフランス文学者、ロジェ・グルニエが、C・チャップリンの映画「ライムライト」を小説化した「ライムライト」(早川文庫500円)で、映画とそのシナリオから小説にしたものです。後年、グルニエは「マジックパレス」で1930年代の映画界を背景にした小説を書いていますから、その先駆的作品なのかもしれません。

最後は、抱腹絶倒の一冊。赤瀬川原平、ねじめ正一、南伸坊の対談「こいつらが日本語をダメにした」(筑摩文庫350円)。例えば「どんぶり勘定」という言葉をめぐる対談と写真を見たら吹出します。どんぶりに目一杯の硬貨を入れた写真。その下のキャプションには500円硬貨なら何枚、100円硬貨なら何枚と書いてあります。みんな、ひまか?と言いたくなりますが、お三方はいたってマジメです。あるいは、『「足留めを食う」って言葉があるけど足留めというものはどういうもんですか。やっぱり食べられるもんでしょうかね。』って、そりゃないでしょ。

文庫も探して頂くと、面白いものが見つかります。

Tagged with: