先日、京都市内にお住まいのS氏が、自作の豆本を持って来店されました。装丁のそれぞれ異なった作品、全部で11種類でした。

森鴎外が翻訳したリルケ作「老人」は7.5cm×7.5cmの正方形の本に製本されています。最後のページを見ると、「一番暗い隅に腰を掛けて、クリストフが拾ってきた花をそれに差すのを見ている」という文章で終わります。そして、その横のページには花びらが貼りつけてあります。(税込み1404円)。左側の写真で豆本と、森鴎外の文庫本の大きさを比較してください。

1800年代に活躍した歌人、橘曙覧(たちばな の あけみ)の歌を編集した「独楽吟」は、判型が11cm×7cm。外箱を開けると、「たのしみは」で始まる歌がバラバラと出てきます。知りませんでしたが、アメリカ大統領ビル・クリントンは、天皇の訪米時に、この中に入っている歌「たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見る時」を引用してスピーチしたんですってね。(税込み2700円)

正岡子規の随筆もあります。大きさは9cm×7cm。外カバーを外すと、美しい和紙の本が出てきます。この本には、子規が西鶴の文体を真似て書いた廓の体験談「旅」その他が収録されています。(税込み1944円)また、芥川龍之介の遺書なんて本もあります。判型は8cm×6cm。昭和2年服毒自殺でこの世を去った芥川最後の文章です。こちらも和綴じの装丁で、表紙の渋い色合いに魅かれます、(税込み1404円)

国内の作家ものばかりの中で、一点だけ「マーク・トウェインの箴言」というアメリカの作家ものがありましたが、在庫が1冊のみで売り切れてしまいました。

すべてに、製作者の本への、文学への愛おしさが溢れた作品ばかりです。一度手に取ってご覧下さい。

 

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