上田秋成が江戸時代後期に書いた「雨月物語」。こんな難しい漢字の多い本に、手を出したくはありませんでした。しかしその昔、現代語訳付きの文庫本を読もうなんぞと思ったのは、ご承知のように、溝口健二の映画「雨月物語」の影響です。

映画「雨月物語」は5回観ても、やはりその都度発見のある映画です。現在500円の低価格で発売されているみたいですから、5回楽しむと1回たった100円です!?

一度目は、完璧な出来具合に驚き、二度目は、能面を冠ったような京マチ子の妖艶さに、ま、こんな女性なら亡霊でも抱かれるわなぁ〜と納得し、三度目には、美術の美しさと白黒撮影技術に惚れ惚れし、四度目は、こんなスゴい映画の原作に興味を持ち、五度目は、劇中で奏でられる音楽の多様性に驚嘆したという具合です。

音楽は早坂文雄。宮城県出身の音楽家です。「七人の侍」など黒澤明監督の一連の音楽で有名ですが、溝口作品でも活躍しました。「雨月物語」の音楽の秀逸さは、巧みな楽器の使い方です。観て、聴いて頂くのが一番ですが、京マチ子扮する亡霊が、屋敷で初めて登場するシーンでは、能の舞台で、幕開きに、まるで彼方の亡霊を呼ぶように鳴り響く横笛のメロディーが使われ、彼女も能役者の如く、すり足で登場します。

そうして、私は原作に手を出したのですが、脱落しました。原作には9編の怪異小説が収録されていますが、映画版は原作の「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の2編を川口松太郎と依田義賢が脚色したものでした。これを全部読むのは、難しかった記憶があります。確か、角川文庫で読んだと思うのですが、放り投げた瞬間に、もう捨ててしまいました。今この歳になって、もう一度挑戦してもいいかなぁ〜と思っています。

 

 

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