大人になってからのこと、ある日、武井武雄と聞いて、忘れていた「キンダーブック」という名前を思い出しました。子ども向けの薄い雑誌です。そうしたら、小さい頃、部屋にあった木製の小さな本棚の色や形までも甦りました。ただし、キンダーブックがその本棚に並べてあったわけではなくて、きっと幼稚園の本棚だったかと、儚い記憶・・・・。

古本屋を始めてから、改めて武井武雄と出会い、この人は童画だけの人ではなかったと認識しました。どこかで古くさいと思っていた色合いのモダンな事!店にある「ラムラム王」(銀貨社1000円)のページをもう一度めくりました。

今回「「武井武雄の世界展」に行き、画家武井武雄のすばらしい絵の数々に感動しました。「風曜日」「星曜日」をはじめとする作品群の中で私は「青の魔法」の青い色が好きです。そこには

『青の魔法をかけられて   昔の空は青かった。

青の魔法をかけられて   昔の海も青かった。

魔法使いの居ない今    空と海は灰色だ。

地球は廻っているけれど  青の魔法を知る人は

みんな僕らを見限って   月の世界へ行ったのだ。』

とリズミカルな詩が添えられていました。ユーモラスで怖い、そして優しくて辛辣。繊細で大胆、わかりやすく、懐かしくて新しい。生と死がいつも重なりあう。

一緒に展覧会を見た店長は、やはりというか、武井さんの作った本に、感動していました。本の装丁とか挿絵だけでなく「本」そのものを美術品のように、こんなにたくさん作っていた人だと初めて知りました。

そして私は木版画に魅かれました。木目の美しさを生かした何とも言えないいい色合いの、素敵な木版画にいっぱい出会えました。感謝です。

ちなみに、もう一冊「父の絵具箱」(900円六興出版)という、娘の三春さんが書かれた本も在庫しています。

武井武雄の世界展〜こどもの国の魔法使い」は京都高島屋で5月19日まで。お薦めです。(女房)

 

 

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