岩手発のミニプレス「てくり」を発行している「まちに編集室」から、センスの良さの光る本が二点到着しました。

1冊目は「てくり別冊光原社*北の美意識」(2052円)です。「光原社」は、宮沢賢治の学友、及川四郎が、大正13年「注文の多い料理店」発行に際して設立した出版社です。その後、南部鉄器、漆器の製造販売に取り組み、昭和初期に柳宗悦の知遇を得て、全国各地の美しい民芸の販売を始めました。その会社を丸ごと取材したのが、この本です。

実は、これは二年程前の「てくり11号」で特集された記事です。発売当時から圧倒的人気で品切れになり、今回違う形で復活となりました。持っているだけで、幸せな気分になれそうな本です。高度な美意識で選ばれた優れた職人技の作品もさることながら、今の光原社の、日常を捉えたポートレイトと文章がたまらなく美しい本です。

創始者の四郎さんの最後の言葉は、「ああ、楽しい人生だったなあ」です。こんな言葉を残して天国へ旅立った彼の人生は極上だったことでしょう。

後半に宮沢賢治の「注文の多い料理店」出版に関する記事が二本載っていますが、ファンには見逃せません。

2冊目は、「てくりbooklet森岡の喫茶店おかわり」(1080円)です。喫茶店の紹介本なのですが、情報誌がよく作るカフェ情報だけの薄っぺらい本ではありません。柔らかい光線に包まれて、美味しい珈琲や紅茶を飲む時間の幸せを伝えてくれる本だと思います。「ふかくさ」の女主人と愛犬チャメ子のショットは、この店に流れる貴重な時間まで写っています。

隅々まで編集者の気持ちの行き届いた本は、持った瞬間、あるいはページを開いた瞬間に、何かが伝わるものなのかもしれません。

 

★お知らせ 勝手ながら7月1日(火)は休業いたします 。

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