漫画家ますむらひろしの描いた宮沢賢治関連のコミックは、当店では人気で、まとめてにマーケットに出ることもなく、見つける度に仕入れて出すと、直ぐに売れてしまいます。

彼の人気は、「銀河鉄道の夜」の世界を猫に置き換えて映像化したアニメ「銀河鉄道の夜」のヒットも大きいと思います。音楽は細野晴臣が担当、無国籍音楽の典型みたいな心地よきサウンドでした。

ますむらと賢治コンビは、大判コミック、ハードカバー、文庫と多く出ています。今回、ハードカバー版の「ますむらひろし宮沢賢治選集」の第2集と第3集が入りました。

第2集は「銀河鉄道の夜」。これには初期形「ブルカニロ博士編」というのがあります。親友カンパネルラを亡くして悲しみにくれるジョバンニの前に登場する、愁を帯びた眼を持つ、知性と優しさを兼ね備えた猫は、原作を越えた造形です。多分、彼なら平和に生きて行ける共同体の設計やら、新しい時代のあるべき姿も教えてくれそうです。「科学も信仰も同じだ」それが人間全体の幸せになるならば、と大胆な考えの持ち主だった賢治の分身みたいですね。「銀河鉄道の夜 最終形」も収録されていて、その微妙な違いも楽しめます。個人的には初期形の方が好きです。


 

「ブルカニロ博士編」の最後にこんな台詞があります。

「何かいろいろのものが 一ぺんにジョバンニの胸に集まって 何とも言えずかなしいような新しいような気がするのでした」

賢治は、人生を、日々悲しいような、日々新しいようなものと捉えていたのかもしれません。

 

第3集は「風の又三郎」、「雪渡り」、「十石の金剛石」他が収録されています。「十石の金剛石」は、殆ど植物が主役の物語ですが、原作で読んだ時よりも深く心に染み込んできました。ラストのいばらを外す猫の王子の姿は忘れられません。

「風の又三郎」ですが、大判のコミック(朝日ソノラマ)もあります。ますむららしい猫キャラの動かし方を楽しむなら、こちらをお薦めいたします。このシリーズは全六巻発売されていますが、なんとか揃えていきたいものです。

 

★ 勝手ながら6月30日(月)7月1日(火)と連休させていただきます 。よろしくお願いいたします。

 

 

 

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