京都人必見?の映画「舞妓はレディ」観てきました。監督は周防正行。

その昔「変態家族兄貴の嫁さん」と黒澤清の「神田川淫乱戦争」といディープで、ほほ〜っと思わせる二本立てで初めて知った監督でした。小津安二郎へのオマージュポルノというとんでもない作品でしたが、その後、「シコふんじゃった」や「Shall we ダンス」で大ブレイク。

そして、今回、有名な「マイ・フェア・レディ」をそのまま和製ミュージカルとしてリメイク、しかも舞台は京都の花街(ロケは上七軒辺りでやったみたいです)にやってきた舞妓志願の女の子。

ずばり言って「お見事!」の一言につきます

「マイ・フェア・レディ」で、ヒロインに正統派英語を教えるヒギンズ教授が登場しますが、こちらでは、花街の京都弁を教えるという肩書きで学者が登場します。前者では「スペインの雨」”The Rain in Spain”という有名な歌が登場しますが、これは「京都の雨は盆地に降る」になって登場します。このパロディ精神の豊かさと監督のミュージカルへの愛が、方々で笑わせ、豊潤な時間を提供してくれます。

そして、ミュージカルとなれば、肝心の踊りのシーンも、着物を着ての振り付けです(振り付けはパパイヤ鈴木)。これまた、どのナンバーも、おそらく出演者は大変だったでしょうが、楽しい。

岸部一徳や田畑智子といった京都出身のナチュラルな京都弁の掛け合いや、着物の着こなしも見事な富司純子の演技で、ミュージカルといっても違和感が全くありません。ラストはカーテンコールっぽい終わり方で幕が閉じるのも、この手の映画の王道です。

昨今、「エンターテイメント」という言葉が、「エンタメ」という省略語になってしまって、安物感がありますが、この言葉の本来持っている輝きを取り戻す映画といっても過言ではないでしょう。是非劇場でご覧になることをお薦めします。

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