東京の小さな出版社Ecrit/エクリは、2010年にロベール・クートラス初の作品集「僕の夜 Mes Muits」(2700円)を発行しました。

1930年パリ生まれの画家ロベール・クートラスは、カルト(手札サイズの作品)、油彩、グァッシュ、テラコッタ、また木片や段ボール、封筒の裏面に描いた遊び心溢れたドローイング等、数多くの作品を残しました。日本ではまだまだその魅力の全貌は知られていません。
カルト作品を「僕の夜 Mes Muits」と呼んだように、クートラスはグァッシュの肖像画作品群を「僕のご先祖さま “Mes Ancêtres”」と名づけました。 本当のご先祖様のポートレイトではなく、路上やカフェなど様々な場所で描いた肖像画です。ユーモラスなんだけれど、どこか寂しげな登場人物達を眺めていると、やぁやぁ、調子どう?と話し掛けたくなってきます。

さて今回、同社から、縦378mm×横258mm 頁数:64P、掲載作品点数:63点の「ロベール・クートラス作品集僕のご先祖さま」(税込み3780円)を入荷しました。カルト作品を集めた「僕の夜」でファンになられた方には、必見の一冊です。

版元Ecrit/エクリは、高品質のアート系作品を少しずつ発行していて、当店とは開店以来のおつき合いです。ここから出版されている本はどれも素敵ですが、やはりソビエトのアンドレイ・タルコフスキー監督の父のアルセーイ・タルコフスキーの詩集「白い、白い日」(税込2700円)がお薦めでしょう。

映画「鏡」「ストーカー」「ノスタルジア」の中で何度か詩が朗読されている詩の作者が、監督のお父さんです。ロシアでは第一級の詩人ですが、共産主義政権下では不遇の時代を過ごし、1962年、55歳になって初の詩集が出版されました。本書は、彼の詩に満ちあふれている冷気の中に立上がる透明な美しさを表現したような、鈴木理策志の写真を添えて編集されています。

「この世に奇跡はない、あるのはただ奇跡への待望だけ。詩人が踏みとどまれるのは このどこからともなく沸き上がる渇望のため。」(詩「生よ、生よ」より)

簡潔な文体で書かれた詩集を一度、お楽しみ下さい。