と、えらそうに言い放ってしまいましたが、もちろん原文ではありません。池澤夏樹個人編集による「日本文学全集全30巻」の第一回配本が、漢字まるでダメの私がスラスラ読める池澤訳による「古事記」だっだのです。

「天と地が初めて開けた時、高天の原に生まれたのは 天之御中主神(アメノ・ミナカヌシのカミ)と高御産巣日神(タカ・ミ・ムスヒのカミ)そして神産巣日神(カミ・ムスヒのカミ)の三名の神だった」

で、「古事記」は始まります。全体は上巻、中巻、下巻に分かれ、神話的世界から徐々に血なまぐさい権力闘争に彩られた現実的物語へと変遷していきます。読み始めた時、天皇がどこどこの娘に生ませた子供の名前の羅列が続くのが退屈でしたが、その絶倫ぶりやら、なんとか子孫を残そうとする涙ぐましい努力に圧倒されどんどん読んでいきました。スサノオと対峙するアマテラス、神武天皇の登場で国作りが開始され、ヤマトタケルの冒険話、そして仁徳天皇をめぐる女たちのバトル(これ、週刊誌ネタです)。そして初の女帝推古までの系譜が語られていきます。下巻で出てくる人間臭い争いごとの話は笑ってしまいましたが、全380ページ、トライしてみてはいかがですか?

このシリーズ、翻訳の面々が面白いので今後も買っていこうと思います。ただ今、川上未映子訳による樋口一葉「たけくらべ」に挑んでいます。この後、町田康訳「宇治拾遺物語」、島田雅彦訳「好色一代男」、いとうせいこう訳「曾根崎心中」、いしいしんじ訳「義経千本桜」、酒井順子訳「枕草紙」、高橋源一郎訳「方丈記」、森見登美彦訳「竹取物語」、堀江敏幸訳「土佐日記」、内田樹訳「徒然草」と、魅力的なラインナップです。この全集のラスト(2017年刊行)を飾るのは角田光代訳による「源氏物語」(全3巻)です。

全集の売れないこの時代に、刊行した河出書房と、こんなユニークな翻訳人を選んだ池澤夏樹の編集者としてのセンスの良さに敬服します。

日本文学全集を出す前に、世界文学全集も池澤編集で刊行されました。こちらも、ユニークな作家が並んでいます。店には数点在庫しています。

河出書房HPに池澤夏樹の「なぜ今、『日本文学全集』なのか」というロングインタビューが載っています。

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