盛岡発のミニプレス「てくり」は、最新20号(648円)で10周年を迎えました。おめでとうございます!!

「てくり」は、レティシア書房開店時からお世話になっているミニプレスで、バックナンバーも人気のある雑誌です。盛岡の「ふだん」を綴る、をコンセプトにして、この街で生きる様々な人々を紹介しています。10周年記念号は「続けるひと」という、自身10年続けてきた気持ちが込もった特集です。

「続けるひと」では、3人が取り上げられています。

かつて市内にたくさんあった料亭も、今や残るは3軒で、その貴重な一軒「駒龍」の若女将岩舘早苗さん。そして地元で50年以上、ありとあらゆるデザインの仕事を手掛けるデザイナー田中文子さん。もう一人は、30年もの間トライアスロン競技選手として活躍するアスリート佐野智子さん。各人各様の「続ける女の続ける理由」が語られています。

この雑誌がいかに創刊され、続いてきたのかを俯瞰できる、「てくり」10年の記録は貴重です。2001年夏、「何か仕事以外に主張できる冊子をつくろうと」集まった人達。それから紆余曲折の末2005年春、創刊に至りました。その創刊号を作る際に、手本になったのが大橋あゆみ編集、発行の「アルネ」だったというのは興味深いことです。そして月日は流れ10年。その歩みが、世間での出来事と対比しながら見ることができます。例えば2011年の東日本大震災。すべての仕事が止まります。

「震災で紙が手に入らず、印刷会社もストップ。季節を夏に押したが、当初予定していた『本特集』を切り替え、『伝えるしごと』がテーマ。やや悶々とした号」

と当時を振り返っています。また、毎号楽しみしている「もりおかわんこ」は、11号からスタートしたことも初めて知りました。

オール女性の編集部。よく続きますね、と聞かれるそうですが、メンバーにこだわりがないことがいいのかもと仰っています。

「『どうでもいい』ということではない。『こうでなくては許されない』という事が少ないのだ。『こうでもいいけど、それもありね』という感じ」

そんなしなやかさが素敵な雑誌を作り続けているのですね。毎号「あなたはなぜ、ここにいるのですか」という連載が掲載されていて、この街で慎ましく暮らす人が取り上げられています。撮る人も、撮られる人も、この街の暮しを愛していることが伝わってきます。また、不定期に発行される「てくりブックレット」も隅々まで丁寧に作られています。自分たちの暮らす街や人を愛しく思っているから、成せる技なのかも知れません。この記念号の表紙モデルさんが、創刊号と同じ方の10年後というのも、「てくり」らしいと思います。

流行の先端をゆく東京から、はるか離れた地方都市で、オフビートな感性で取材を続ける「てくり」をレティシア書房は、ここ京都から、これからも応援します。今後共よろしくお付き合い下さい。

 

Tagged with: