これ、「つるとはな」(つるとはな発行1480円)2号に掲載されているリリー・フランキーの言葉です。

「人生の先輩に聞く」というキャプションのついたこの雑誌、老いを受け入れ、ますます賢く、楽しく生きる女性達が満載。魅力的な人が、次々と登場してきます。70歳、80歳、90歳にして、これか!!と唸らせてくれます。だから、50歳のリリーフランキーは、まあ年下のボーイフレンドです。確か前号は火野正平でしたっけ。

今号一番注目したのは、ドイツ、ベルリン動物園のパーテシステムを利用する女性でした。動物達の飼育費を払って「親」(ドイツ語でpate)となって、彼等を間接的に育てる制度で、名乗りを上げる高齢者が多数いるようです。夫に先立たれたクリステルさんは、この制度を利用して、動物園によく来ます。動物の親になるということは、大自然に一歩近づくこと。その喜びが、彼女の日々の人生を輝かしています。キティと名付けた猫と暮らす彼女は、こんなことを言います

「何か起きたら起きたまでだし、戦争を体験していれば、それ以上に怖いものなんて何もないわ。空襲で連合軍の爆撃機が家のすぐそばまで飛んできたときは本当に恐ろしかった。でもそのとき、父が落ち着いて一言。『大丈夫。ここまでは来ないよ』って。それで、すーっと恐れが消えたの。その後も、何かあるごとに父のその言葉を思いだせばポジティブになれたわ。私だって明日、道に出た途端に事故に遭うかもしれないし、運命は変えられないんだから、一日、一日、今日という新しい日があることに喜んで楽しめばいいんじゃない?」

多くの悲惨な経験、悲しみの日々を乗り越えてきた先輩の言葉は説得力があります。

 

もうひとつ、心に残ったのが、「詩人メイ・サートンの肖像 孤独こそわが領土」という作家メイ・サートンの生涯を綴った読み物です。1991年、人生の秋を見つめた彼女の「独り居の日記」が翻訳されます。

「日本語の孤独の語感には寂しさが先立つが、独り居にはどこか清々しい意志が感じられる。寂寞も受容した肥沃な地平が、すうっと目裏に浮かんできた」

とは、このエッセイを書いた鈴木るみこさんの言葉です。老い、孤独、死、をひたすら考えて、簡潔な言葉で表現した彼女の本には、一度トライする価値があります。先ずは、このエッセイをお読み下さい。(店には、何点か彼女の本は在庫しています)

「私から年齢を奪わないでください。働いて、ようやく手にいれたのですから」

歳を重ねるのは、その人の誇りなのだという確信をついたメイの言葉です。