今年、「SAPEURS/サプール」(青幻舎2484円)という本がよく売れました。アフリカの下層階級の人達が、生活費をけずっても買い込んだ高級ブランドに身を包んで、街を闊歩する姿を撮影した写真集です。エレガンスの極みみたいな一冊ですが、本を買われた方からは、なんか元気でるよね、という感想をいただいたりしました。

黒い肌の美しさに魅せられるという意味では、「Skin」(扶桑社1500円)もお薦めです。アーティストひびきこづえのコスチュームを身に纏った男たち、女たちを写真家、高木由利子が捉えた作品です。二人は、ケニア、トルコ、タイへと旅を続け、その地で暮らす人達とのコラボを収録しています。

それぞれに物語性があり、神話的世界、幻想的世界、祝祭的世界を表現しています。肌の色にしても、すべてがブラックという訳ではありません。でも、それぞれに美しいのです。彼らが着ている極めて装飾的なコスチュームがなかったとしても、彼らの佇まいはきっと素敵なものであるのは間違いないでしょうが、非現実的な服を身につけることで、演劇性の高い人物へと変身して、ページを捲るごとに、私たちを天空の想像世界へと誘ってくれます。

写真集といえば、久しぶりにアラーキー(荒木経惟)のデビュー作品集「さっちん」(新潮社700円)が入ってきました。昭和30年代の、どこにでもいる少年少女の日常を捉えたものですが、なんて幸せそうな表情でしょう!毎日が楽しくて仕方ないという感じが、伝わってきます。まさに天真爛漫。思いきり笑った瞬間の大きな口、面白いことは絶対見逃すまいとする目の動き。世界は僕たちのためにあるということを抱きしめて遊べるなんて、最高じゃないですか。

アラーキーは、こう語っています。

「少年性っつうのはね、一番の魅力のことなんだ。そんなものはね、十歳とかそんな頃に、いくらまわりの環境がどうだったって、奪い取れるものじゃない。それをね、いまの時代がだめにしたなんていったりしちゃあだめだよ。チャンスがあればいつだって呼び戻すかもしんないよ。もって生まれた少年の野生っつうのをさ、そういうものを」

「もって生まれた少年の野生」って、いい言葉だと思います。

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