フェルト作家鈴木オリエさんの「物語のかけら展」本日より始まりました。

2012年春、京都で開催された「ヒツジパレット」(羊毛を主軸とした作品の公募展)の会場で、鈴木さんの作品に出会いました。フェルトのカラフルなモザイク模様の小さなウサギ。緻密でありながら、ふっと肩の力の抜けたユーモラスな造形に心魅かれたのを覚えています。ちょうどレティシア書房開店のときでもありました。

2015年「第2回ヒツジパレット」に出品中の鈴木さんが、当店に立ち寄ってくださいました。このチャンスを逃してはならないと個展をお願いしたところ、店長の選書とコラボしましょう、という提案を頂きました。何度か本の選書に関するメールのやり取りをして、本を送って1年。さてさて、どんな作品が出来上がってきたのか楽しみでしたが、昨日荷解きをした瞬間から、多くの物語が飛び出しました。お送りした様々なジャンルの本の中から、鈴木さんがイメージをふくらませて作品にするという、本屋とフェルト作家の思いがひとつになった、嬉しい展示になりました。

池澤夏樹、星野道夫、宮沢賢治、長野まゆみ、小川未明、岸田今日子等々の作家の作品から、こんなに楽しい作品が出来上がってくるのかと驚かされました。池澤夏樹の「熊になった少年」に発想を得た大きな熊の顔は、熊になろうとした少年の真っ直ぐな目が、優しくじっと前をみつめています。独特の色使いが、幻想的で、民話から生まれたこの物語の世界にさそってくれます。

一方、宮沢賢治「雪渡り」に登場するスキップるんるんの白狐、そして「銀河鉄道の夜」の本を手にして、得意顔の猫たち。或は、星野道夫の世界から飛び出して来たカヌーに乗ったイヌイットと犬。「ネコナ・デール船長」の絵本から、物語を身に纏ったような、やさしい佇まいの男(写真左上)が、そして、船長の相棒の猫「くつした」も、海を連想させる色をした猫になり、すっくと立った姿が魅力的です。(写真下・右側)

鈴木さんのフェルトは、カラフルだけれど、温かくて落ち着いていて、本当に美しい。アクリル絵具と色鉛筆で描かれた幻想的な絵が2点あるのですが、これがまた、本屋にずっと掛けておきたいような素敵な絵なのです。ここから、さらに洗練されて、高い技の力で、独特の可愛さと力強さを持った立体になっていくのですね。

クリスマスも近いということで、ブローチ(各6500円)など小物もたくさん作って頂きました。(左写真)

フェルトを知っている方も、見た事のない方も、本屋の扉を開けてお入り下さい。ホントに楽しい鈴木ワールドです!(女房)

 

鈴木オリエ「物語のかけらたち」展は12月11日(日)まで

12時〜20時 (最終日は18時)月曜日定休

なお、12月3日(土)〜18日(日)静岡県賀茂郡松崎町「侘助」にて鈴木オリエさん・くぼやまさとるさん・中泉秀美さんの3人展「師走道楽」が開かれます。ワークショップもあるようです。お近くの方はこちらもどうぞ。