売れ行き急上昇中(といっても小さな店ですんで、そんなに冊数は多くない)の2冊、つばた英子、しゅういちご夫婦の「ときをためる暮し」「ふたりからひとり」(どちらも自然食品通信社1944円)が、「人生フルーツ」というタイトルでドキュメンタリー映画として今月末に京都シネマで公開されます。この本については、以前に店長日誌にて取り上げましたが、「暮らす」ということの理念が平易な文章で語られている、どの世代にもお薦めできる中身です。

一方、帯広発のミニプレス「スロウ」最新号(905円)にも、つばたさん夫妻と同じように、日々の暮しを丁寧に紡いで生きる歓びを見出している宮本さん夫妻が紹介されています。

札幌で暮らしていたご夫婦が、子供たちの独立を切っ掛けに、田舎暮らしを考え始めたのが2003年。それから試行錯誤の後、なんとログハウスを自分で建ててしまったのです。そして、畑をやりながら、二人で質素だけれども、豊かな暮しを楽しんでおられます。面白かったのは、付箋がベタベタと貼付けられた図鑑類の写真です。ご主人曰く、引っ越してきた時は、山菜の名前も、キノコの種類も、ましてや野鳥の名前なんかも全く知らなかったとか。この記事を書いた記者はこう想像しています。

「すっかりボロボロになった何冊もの図鑑にはたくさんの付箋が貼られていて、いろいろな書き込みがされていた。動植物の名前をひとつづつ知ることも、大きな楽しみになっていることだろう。」と。

スマホ、ネットではなく、紙に図鑑というところが嬉しいですね。鳥の図鑑には、その鳥が庭に訪れた日時が書かれていて、使い込まれた図鑑の写真には親しみを感じました。

創刊50号を迎える「スロウ」は内容盛り沢山で、すべて紹介したいぐらいですが、興味深い記事をご紹介します。それは、「たねたね交換会」です。

野菜の産地は気にするものの、それらの種の産地は気にしないでいいのか、という疑問から始まった交換会は、種の物々交換の場であるばかりでなく、食に対する価値観を分かち合う場所になっています。ルーツを探れば海外からの輸入種であったり、農薬付けだったりする事もあるとか。本来、百姓という言葉には「百の仕事ができる」という意味があり、農家は種取りができて当たり前でした。しかし、今は種苗会社がその仕事をしていて、農家は外されています。だからこそ、種から選び、自分たち育てたいものを作ることで、本当に安全なもの、本当に美味しいものが出来上がる。そんな価値観を持った人達が情報を共有し、より広いネットワークを形成することを目的にしています。

「スロウ」は北海道発信の情報誌ですが、しっかりと暮らしを見つめた本で、誰が読んでも納得がいくと思います。

 

★レティシア書房臨時休業のお知らせ 4月17日(月)18日(火)連休いたします。