左京区の個性派書店ホホホ座が出版した「焙煎家案内帖 京都編・一」(1000円)を、山下店長自らお届けいただきました。

ページを開けると、「焙煎」「焙煎の方法」「焙煎の度合い」等々、焙煎コーヒーに関する基本的用語の解説が載っています。知ってる人も、知らない人もここを読んでから紹介されているお店に進みましょう。

「京都編・一」で取り上げられているのは、六曜社、swiss coffee plants、ガルーダコーヒー、Hifi Cafe、Windyの五件の店主さん達です。当店のお客様で、いつもレコードを買っていただいているHifi Cafeオーナー吉川孝志さんが登場!Hifi Cafeは、当店から歩いて十数分の所にあり、民家そのままをカフェにしてオーナーの趣味で集められたレコードが整然と並んでいるお店です。オーナーは、本当の深煎り豆の珈琲の味を求めて日夜研鑽されています。

「深く煎った珈琲っていうのは、酸っぱくない。酸味が飛んで苦みが増すんですけども、同時に甘味も増すんです。その苦みと甘味が拮抗して飲めるギリギリのところっていうのを目指すんですけど、それはある程度の濃度も必要なんです。それはペーパーでは落とせなくて、ネルでゆっくり落とさないといけない。」

職人さんの話を聞いている感じです。たかが珈琲、されど、その珈琲一杯に真剣勝負をしているオーナー達の姿が伝わってきます。ガルーダコーヒーのきたむらゆかりさんは、インタビューの最後でこう語っておられます。

「コーヒーは機会操作と化学変化が理解できれば誰でも焼ける。フライパンでも焼ける。だからこそ、誰がどんな思いで焼くかが大切なんじゃないですかね。」

「誰がどんな思いで」って、どんな商いでも、最も大切なことだと思います。

さて、コーヒーの香りの次は、ドーナツです。ドーナツの穴に関して、各界の気鋭の学者たちが論じる「失われたドーナツの穴を求めて」(さいはて社1944円)という本を入荷しました。ある種、オタクの極みの一冊ですが、いや立派です!

実際のドーナツ屋が登場して、ドーナツ屋に実情を語り、英国史の研究者がドーナツの歴史を紐解き、その一方で中国史の研究者が中国とドーナツの関係から東洋におけるドーナツの穴について論じ、果ては経済学者がドーナツの穴の経済的な価値を述べるという、もう四方八方に論考が飛んでゆくという内容です。

この本を作ろうと思い立った言語学者の芝垣亮介さんは、「ドーナツとドーナッツの違い」を検索したところ、画面に夥しい数の「ドーナツの穴」についての項目が出てきました。そこから、彼は「ドーナツの穴制作委員会」を立ち上げ、多くの学者をメンバーとして、不可思議な存在のドーナツの穴の解明に向かいます。その集大成がこの本です。

芝垣さんはこの本の目的を「今、そこにある謎を、今そこにある『知りたい』を探求する、その喜びと幸せを共有すること」だと書かれています。学問って、こういうところから発生するのかもしれません。

気合い十分の本書は、装幀にも力が入っています。本の右上にドーナツの穴らしきものがパンチされていて、本を貫いています。そして曰く「すべての穴はドーナツに通ず」。

知的好奇心の旺盛な人にはワクワクする本です。。