レベッカ・ボンド作「森のおくから」(ゴブリン書房1200円)は、サブタイトルに「むかし、カナダであった ほんとうのはなし」と付いています。著者の祖父、アントニオ・ウィリー・ジローが100年ほど前に経験したことを絵本にしています。

1914年のこと。アントニオは深い森に囲まれたゴーガンダという小さな町に住んでいました。両親は、林業に従事する人、鉱石を取る人などの、長期間森で働く人々のためにホテルを経営していました。幼いアントニオは、大人たちの話を聴くのが大好きでした。そして時には、一人で森に入っては遊んでいました。彼が5才の時、山火事が起こります。火の勢いは激しく、住民もホテルの客もみんなゴーガンダ湖へと逃げ出し、鎮火するのを待っていました。すると、そこへ森の奥から、熊や鹿など多くの動物も湖へ逃げてきて、人々と一緒に山火事を見つめるという出来事が起きます。やがて、火は弱まり、動物達も人間達もやれやれという表情で、なんのトラブルも起こさずに、それぞれの住処へと戻っていきました。

 

ペンと水彩で細かく描き込まれた森や、動物たちの表情、ホテルの様子など奥行きのある絵が美しい。そして、俯瞰で捉えた湖に動物と人々が一緒にいる画面が、次のページでは、さらに近寄り、アントニオの周りにカモシカや狐が集まってきます。動物達も同じ森に住む生きるものとして、住人と静かに佇んでいるなんともステキな画面です。

さて、もう一冊絵本を紹介します。優れた児童文学者でありながら、幻想味たっぷりの怪奇小説で日本でも人気の高いウォルター・デ・ラ・メアが詩をつけて、カロリーナ・ラベイが絵を描いた「おぼろ月のおさんぽ」(岩崎書店1200円)です。

夜空のお月様が、地上に降りてきて、身体は猫になって散歩するというメルヘンです。静寂が支配する森の中を、月光で周りを照らしながら歩いてゆくお月さまの姿が可愛らしく描かれています。

デ・ラ・メアと言えば、橋本治の翻訳した「まぼろしの顔」が傑作ですが、創元推理文庫の収められた「死者の誘い」もいいです。前者は美本なら高額で取引されています。後者は絶版ですがそう高くはありません。(近日入荷します!)

 

 

 

 

★安藤誠ネイチャートークショー「安藤塾」今年も開催決定しました。

北海道のネイチャーガイドで、釧路ヒッコリー・ウインドオーナー安藤誠さん(写真右・愛犬キャンディと)のトークショーを10月25日(水)19時30分より開催します。(要・予約 レティシア書房までお願いします)