今年1月、レティシアで個展をしていただいたイラストレーターの得地直美さんの「御所東考現学」(誠光社1080円)が発売されました。

当店では、彼女の「神保町」(夏葉社1836円)発売記念で、神保町の古書店街を描いた本の原画展でした。今回は、なんと京都は御所東界隈を中心にした本です。御所東とは、京都御所の東側から鴨川あたりまでのエリアを表しています。(ちなみにレティシア書房は御所南のエリア。惜しい!)また、考現学というは、現代の社会現象を調査・研究し、世相や風俗を分析・解説しようとする学問で、考古学をもじった造語です。

得地さんは京都精華大学在学中、鴨川にかかる荒神橋近くの古い長屋で生活していました。

「私にとって御所東は、自転車で四条河原町など街に向かう時の『道』でした。」つまり、この界隈は懐かしい場所なのです。

十数年ぶりに町を歩き、ここに暮らす人達の話を聞いて作られた本です。例えば、地蔵盆を見学して、地蔵盆の提灯、数珠廻しなど、京都人には馴染み深い行事が描かれています。また、大正末期に建てられた古い町家に住んでいるあるご家族の家にお邪魔して、その雰囲気を伝えてくれます。かつては薪を使っていた煮炊きをしていたおくどさん(かまど)も備え付けられてありました。このお宅では、さすがに薪ではないけれどガスを引いて現役で活躍しているおくどさんの姿を、得地さんは、愛らしいタッチで描いています。

最近話題のエスニック料理店に混じって、國田屋酒店が紹介されています。私は、鴨川のもう少し北にあたる出町柳に住んでいたころ、帰宅途中にあったこの酒店に、毎日のように通っていました。三階建ての大きな建物の一階部分が酒店で、お酒以外にも果物など売っていて、様々なものが積んであり、不思議なワンダーランド化しているお店。店内には立ち飲みコーナーもあり、しかも明け方まで営業しています。得地さんは、店内の様子を事細かに、楽しそうに描かれています。水槽にナマズまでいるそうですが、それは知りませんでした。

「神保町」でも、街の空気をふっと感じさせる彼女のタッチは、「御所東考現学」でもますます健在です。なお、この本には、梅林秀行氏に、誠光社の堀部さんがインタビューした記事が掲載されています。梅林さんは、TV「ブラタモリ」にも登場し、「京都の凸凹を歩く」(青幻舎/古書1200円)の著者です。「いま、京都を考現学的に歩く意味」について語っておられます。これは、面白い!

なお、誠光社では、1月15日まで「御所東考現学」原画展が開催中です。

 

●レティシア書房のお知らせ●

 年始年末 12月29日(金)〜1月4日(木)休業いたします。