西アフリカ・セネガルで1000年もの間、人々の暮らしを見つめ、聖霊が宿る木として敬われ続けているバオバブの木を、写真に収めた本橋成一の写真絵本「バオバブのことば」(ふげん社2484円)の販売を始めました。

本橋は60年代から現在に至るまで、炭鉱や、サーカス、屠殺場などを取り上げ、そこに生きる人びとの姿を写してきました。写真家としての活動の一方で、98年には、チェルノブイリ原発事故の被災地で暮す人々の日々を追いかけた「ナージャの村」で、映画監督をしました。その後、数本の作品を監督しています。その中には「バオバブの記憶」というバオバブをテーマにした作品もあります。映画と同タイトルの写真集もあり、こちらは店に置いています。(平凡社1900円)

今回ご紹介する「バオバブのことば」はすべてBWで撮影されています。何百年もの間、アフリカの乾燥した大地に、ぐっと枝を広げて立つバオバブを見ていると、その強い生命力と深い精神性を感じてしまいます。

写真集は「トゥーパ・トゥール村で たくさんのバオバブに出会った。」という本橋の言葉で始まります。様々な枝の曲がり方、幹のくねり方は、まるで舞台で踊るダンサーの姿みたいです。やがて、バオバブの周りに集まってくる人々、家畜を捉えた作品が登場します。

「バオバブは大地の許しを得て芽を出す だから村人は決してその居場所を侵すことはない。ずっと守られてきたバオバブとの約束」

守り、守られている村人たちの姿が伝わってきます。木の下で草を食べる山羊、それを見つめながら休息する村人たちの写真は、バオバブと共に平和に暮す、この村が表現されています。特に素敵なのは、子どもたちです。ズラリと根本に並んだ子どもたちは、まるでバオバブから昔話を聴いているみたいです。

「4000年を生きたバオバブが突然枯れて、消えた『役目を終えたからさ』と村人」

消えたバオバブに代わって新しい世代のバオバブが、村を守ってゆく。そんな光景が永遠に続けばいいのですが……。