「女子の古本市」は、後半突入です。まだまだ、面白い本を紹介していきます!

女性随筆家の先駆者、森田たまが1936年に発表したデビュー随筆集が「もめん随筆」です。日常生活、交遊関係、食文化など多彩なテーマを取り上げて、40数編の随筆と10篇の詩で構成されています。また、装幀も手がけており、自身が好きな着物の柄をモチーフにデザインしています。最近文庫で復刻されましたが、この函と本体の装幀の良さには叶いません。今回これ以外にも、「続もめん随筆」、「をんな随筆」、「随筆をんなの旅」、「随筆竹」、「絹の随筆」(すべて800円/出品・旅猫雑貨店)がでています。まとめて買うも良し、気に入った装幀のものを買うのも良いかと思います。

様々な日記文学がありますが、料理研究家の高山なおみの「チクタクの食卓」(上)(下)(各500円/出品・半月舎)は驚きです。2005年の1月から12月のお昼御飯、夕食がすべて写真に撮影されて、解説付きで紹介された日記です。もちろん簡単なレシピまで付いています。さらに、「七月二十九日(金)快晴。今日は朝帰りだった。九時ごろに梅干しだけ干して、そのあとはずっと寝たり起きたり。ひたすらうだうだする。」と日々のコメントまで入っています。一年間、よくも毎食毎食写真に撮ったものだ!!

当店でも人気の翻訳家、岸本佐和子が、子供にまつわる12の物語を翻訳編集した「コドモノセカイ」(1200円/出品・マヤルカ古書店)は、とても、変。いや、岸本佐和子らしいと表現すべきか……。「小さい弟に歯がなかった。何年も食べ物を与えないようにしていたのに死ななかった。」なんて、僅か数ページのステイシー・レヴィーン「弟」など、なんといっていいのやら……。岸本はあとがきで「こうして並べてみると、ここに出てくる子供たちのほとんどは、孤独だったり、弱かったり、ひねくれていたり、卑怯だったり、とにかくただもう変だったりする。」と書いています。岸本ファンは是非!

こんな評伝もありか、と驚かされたのが、山田一郎「寺田寅彦妻たちの歳月」(1600円/出品・クロアゼイユ)です。明治37年、20歳の寅彦は、現在の満年齢なら19歳の阪井夏子と最初の結婚をします。いわゆる学生結婚です。しかし、その5年後、彼女は世を去ります。その3年後、彼は浜口寛子と再婚、12年後、彼女が旅立ち、その翌年、酒井しん子と三たび結婚します。この本は、三人の妻、寅彦の母の亀、四人の女性との係わり合いを通じて寅彦の生涯を浮かび上がらせます。