2005年〜2014年、読売新聞に連載されていた書評をまとめた「小泉今日子/書評集」(中央公論新社/古書900円)は、彼女のセンスの良さが溢れています。

書評デビューは、「女による女のためのR-18文学賞」受賞の「ねむりひめ」を収録した吉川トリコの「しゃぼん」というセレクトで、お〜さすが、キョンキョンです。その次が女優沢村貞子のマネージャーだった山崎洋子が書いた「沢村貞子という人」へとジャンプします。

そして、「何故だか太宰治の『人間失格』を思い出してしまった。」で始まるのが白岩玄「野ブタ。をプロデュース」です。「この小説には注意が必要だ。」と書いています。

「楽しい青春小説のようだが、その楽しさ自体が着ぐるみショーで、閉じた夢の中にみんなが憧れる人気者の深い孤独が隠されている。油断していると案外残酷な結末に胸がぎゅっと締め付けられる。人生は過酷なのだ。」

三崎亜記「となり町戦争」では「戦争の怖さは、人間から感情を奪ってしまうことでもあるのだろう。この本を読んで初めて、自分の身の丈で戦争のおそろしさを考えることが出来たような気がする。」

ここで取り上げられているのは、アカデミックな文芸評論には掲載されない、一般的な作品ばかりですが、キョンキョンは、読書を通じて、ものの見事に自分を語っていきます。短い書評ながら、彼女の考え方、生き方が伝わってきます。

「生まれて初めて教科書や参考書以外の本にラインマーカーを引きまくった。私の未来。新しい世界、新しい生き方への受験勉強をしているみたいで楽しかった。」

これ、上野千鶴子と湯山玲子の「快楽上等」の書評の最後の文章です。

現在開催中の「ミシマ社と京都の本屋さん」に出品されている益田ミリさんの「ほしいものはなんですか?」もこの書評集で取り上げらています。

デビュー当時(このシングル発売当時?)、レコード業界のお祭りで一度お会いしたことがありますが、好奇心一杯の瞳が印象的でした。

読書を通して、彼女が思ったこと、考えたことが語られる傑作書評、いや彼女の世界観を発信した本だと思いました。

 

「ミシマ社と京都の本屋さん」展は明日まで!!壁一杯に貼り出した京都の本屋さんマッ プも完成間近ですよ。

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