写真家原田京子さんの「Spanish Sentiment 2」を本日から開催いたします。

 原田さんがスペインに撮影に行かれたのは、写真がデジタルに移行しはじめた頃。もう何年も前のことです。ネガフィルム百数十本とカメラを抱えて、往復の航空券と一日目の宿だけを決めての旅だったそうです。撮りたいものだけを心の赴くまま撮る。それは、きっと仕事では得られない何かを渇望する旅だったのかもしれない、と想像します。

「アンダルシアは気候も人の生活も厳しく、差別の中での悲しみや怒りを表現したジプシーのスパニッシュ音楽やダンスの発祥の地。スペイン特有の鋭角で明るいはずの光の中の風景になぜか胸に沁みる寂寥感….。そして子供の頃、大泣きした後に感じる快感のような懐かしさ。不思議な感覚を覚えながらシャッターを押していました。」と、今回の写真展のために書かれた文章にありました。

明るいはずの光の下で撮られた寂寥。生きる者が胸に抱く孤独が、深く美しい風景写真の中から、静かに心に届きます。そして、全体の色調のせいかもしれませんが、いつまで見ていても疲れない。ヨーロッパの、例えばコローなどの絵画を眺めている様な、なぜか安らぎを感じます。

原田さんとお会いしたのは、2012年にARK(アニマルレフュージ関西)の写真展をギャラリーで開催した時でした。保護された犬や猫の写真をボランティアで撮影されていて、展示作業のためにわざわざ東京から来て下さいました。動物達の表情を見ていると、原田さんが彼らに心を寄せて、愛情を注いで撮影されているのがよくわかりました。それから毎年、ARK写真展の度に一緒に飾り付けるのが楽しみになっていました。そんな中、ARK以外の写真展をしませんか?という私の話に乗ってくれて、一昨年「Spanish Sentiment 」展の運びになりました。彼女曰く「日の目を見ることがなかった」写真は、どれも素晴らしく、さすがに業界で長い間活躍してこられたフォトブラファーだと思いました。

完全デジタル化の現在、印画紙などの製造も中止されようとしているのだそうです。原田さんは、フィルムメーカーの倉庫に残っていたネガフィルムを50本手に入れて、「Spanish Sentiment 」の旅の続きに出たいと思われているらしいのです。この展覧会が、その背中を押す力の一つに、もしもなれたのだとしたら、望外の歓びです。

ゴールデンウィーク中ではありますが、お時間があれば、ぜひアンダルシアの風を感じて下さいませ。(女房)

原田京子写真展「「Spanish Sentiment 2」は4月24日(火)〜5月6日(日)まで

4/30(月)定休日 12時〜20時(最終日は18時まで)