福音館が出版している膨大な点数の「こどものとも」シリーズの中で、レアーなもの、面白そうなものを数点ご紹介します。

先ず、ネットで数千円の高値が付いている2点です。どちらも谷川俊太郎(文)、大橋歩(絵)のコンビによる「これはおひさま」、「おしょうがつさん」です。(どちらも900円)

「これはおひさま」は「これは おひさま」、「これは おひさまの したの むぎばたけ」、「これは おひさまの したの むぎばたけで とれた こむぎ」というふうに、太陽を起点につぎつぎと関連つけてことばが増えていき(「つみかさねうた」といいます)、最後に再び太陽に戻ります。付録の「絵本のたのしみ」で谷川は「子どもの身近な食べもの、飲みものと自然とのかかわりをおりこんでみました。」と述べています。

 

「おしょうがつさん」は、こどもの視線で見たお正月の光景です。元日の日めくりの絵には、谷川のこんないい文章がついています。

「いちって だまって ひとりで たっている いちって おおきな きのようだ」

「1(いち)」を木に見立てる詩人のセンスが素敵です。そして二つの作品それぞれにタッチを変えて描く、大橋歩のイラストの凄腕!

「びんぼうこびと」(700円/付録「ギャラリー絵本のたのしみ」付)は、ウクライナ民話を内田莉莎子が再構成して、太田大八が絵を描いた作品です。真面目な貧乏農民が、ふとしたことでお金持ちになり、ずるがしこい金持ちが没落してゆく、というよくある物語です。けれど戦後数多くの絵本を手掛けた太田の、デザイン性あふれる、そしてウクライナの農民たちの世界を美しい色彩で描いた面白い一冊です。因みに付録の「ギャラリー絵本のたのしみ」は一枚の紙切れですが。堀内誠一が連載で執筆しています。

何故か心魅かれる絵本が、浅野庸子作、浅野輝雄絵による「スペインの小さな村」(500円)。この本にも「絵本のたのしみ」が付属していて、作者の浅野輝雄が、「スペインのアンダルシア地方の古都、グラナダから約7〜80キロメートルのシエラ・ネバダ山脈の中腹にあるピットレス村が、この絵本の舞台です。」と書いています。なんと彼は、この地方が気に入り、妻と小さな子どもと一緒に住んでしまいます。

浅野の妻の庸子が、初めて絵本に関わったのがこの本で、山羊やろばと共に生きる、質素で静かな暮らしが描かれています。現代人が憧れる田舎暮らしの断片をすでに1985年に描いていたのです。ちょっと疲れた時に、絵本を開いて、この小さな村をブラブラしてみませんか。きっとリラックスできるはずです。

★連休のお知らせ 9月10日(月)11日(火)連休いたします。

9月12日(水)〜23日(日)ARK(アニマルレフュージ関西)写真展「Special Friennds」

  保護シェルターで暮らす犬猫の日常を写した作品展です。