カリブ海に浮かぶ数百の小島からなるサンプラス諸島。ここに生きる純血のインディオ、クーナ族の女性たちが幾重にも布を重ねて縫い上げるブラウスの布をモラと呼びます。ヤシの木陰でモラを作る女性たちは裁縫の達人です。この手製のブラウスは、当然のことながらすべて絵柄がちがいます。その人、その人の魂はそこに縫い込まれていると言われています。

モラに魅せられた絵本作家、久我通世が現地に飛んでモラをスケッチするつもりだったのですが、島で行われた祭りに参加したために、それどころでなくなります。酒を酌み交わし、島の人達の仲間にいれてもらいます。

「家具らしいものは物はなく、夜になるとハンモックのベッド。台所は砂の床でくべられるたき火。水は天からのもらい水。そんな簡素な生活の中で、命の源のようなモラが作り出され、受け継がれている。何がたいせつなのかを知っている人たち。」

彼女にとって宝物のように大切な体験を、絵本にしたのが「みんなまつりモラモラ」(講談社/古書1800円)です。踊るような構図、熱帯の熱い太陽みたいな明るい色彩で満ちあふれた絵本です。いろんな島から、「みんなまつりモラモラ」のために人々が集まってきます。いや、人だけでなく、動物たちも。そこかしこから強烈なリズムの音楽が聞こえてきます。お祭りはモラじいと、モラばあのお話で始まります。平和な人って、きっとこういう顔の人のことでしょう。モラじいが、なんとなく寅さん風なのが笑えます。もうあとは、飲めや、歌えやのどんちゃん騒ぎ。踊るワニの上に乗って音楽を奏でる人々は本当に楽しそう。

「みんな、おどって、わらって、モララ♪ みんなまつり モラモラ ラララ♪」と祭りは最高潮に。生命の爆発が伝わって来る様な画面。それはモラの布のようです。やがて、真赤な夕陽を見ながら人々は去っていきます。ところで「みんなまつりモラモラ」て何なの?という問いに、ものしりねこがこう答えます。

「きみが いて、ぼくが いて、みんなが いるって いう おまつりさ。 ちきゅうの おへその おまつり、さ。」

強烈な印象の絵本です。レアな本なんで、ネットでは6000円ぐらいの高値で出ています。