先日、安村正也さんという方が来店されました。「Cat’s Meow Books」という本屋を開店されたそうです。最初は猫がいる本屋さんかなと思いました。確かに、このお店には猫がいます。しかし、猫たちはすべて保護猫なのです。

なんと、猫関係の本ばかりの店内に保護猫が常駐し、店舗の収益の一部を保護猫団体へ寄付するという前代未聞のお店。奈良でのトークショーの前に立ち寄ってくださったので、その時はゆっくりとお話できませんでしたが、この本屋が出来るまでを描いた井上理津子さんの「夢の猫本屋ができるまで」(ホーム社/古書1400円)を買って、一気に読みました。

「ビジネスの中で儲けたお金で猫を助ける」をコンセプトにして、開業プランがスタート。出版業界の売上げが急激に落ち込んでいる時に、本屋をするなんて無謀、儲からないという声は必ずあがります。でも、店主の安村さんは、「『儲からないからやめておけ』と言うのは間違っている。本屋をやれる”道”をつくっていきたいと思うんです。業界としての売上げ減をカバーするとは思いませんが、本そのものの未来は、こういう状況でも本屋を始めたいという人にあると、私は考えます。」と進んでいきました。

そして、「猫がリアルにいて、お茶とビールが飲める猫本屋。新刊も古書も置いて」と店の輪郭を膨らませていきます。準備がスタートすると、何故かこの人の周りにはあれよあれよという間に様々な業種の人達が集まってきます。「猫のいる、猫本だらけの本屋をつくって、幸せになる猫を少しでも増やしたい!」という呼びかけ文で、クラウドファンディングで予算を集めます。著者の井上理津子さんは、ミシマ社から出した「関西かくし味」という本で、大阪の美味しいお店をテンポ良く紹介したライターですが、この本でも簡潔で的確な文章で、本屋作りに邁進する店主を追いかけていきます。

もちろん、お店が出来るまで、誰しも苦労も不安もあります。しかし、この本は、助けた猫に本屋を助けてもらう、その代わり、本屋も他の猫を助ける、という全く新しい書店の姿にエネルギーを傾けた店主の姿勢を中心に描かれています。そこがいいのですね。

「猫とビールと本に囲まれた老後を夢見た者としては、ひと足早く老後がやってきたと思いたい」とオープン前日には余裕の店主でしたが、その後一波乱も二波乱もあることを知りませんでした。その辺りのことは「第三章 いざ開店!理想と現実」をお読みください。

最後の方に、私も同感!と思う店主の言葉がありました。

「Cat’s Meow Books」は新刊も古書も販売しているのですが、「古本屋を始めたつもりはなく、開いたのは『本屋』です」と語っておられます。そうなんです、レティシア書房も古本屋ではなく、当初から「街の面白い本屋」を目指していました。同じ思いの店主がおられて、心強く感じました。安村さん、きっとお店に遊びにいきます!