今、一番お会いしたい書店「Title」店主、辻山良雄さんの新刊「ことばの生まれる景色」(ナナロク社/新刊2484円)を入荷しました。店主が選んだ大切な本40冊に簡潔な文章と、著者の本への深い愛情を汲み取って、絵を描いたnakabanさんの作品がセットになっています。

ブログに書こうとして困りました。ご紹介したい本を読む時、必ず付箋を横に置いて、ここぞという箇所に貼付けていました。しかし、この本を読了してふとみると付箋だらけ、いや付箋が猛烈な勢いで増殖した感じになっているのです。それ程、どこを取上げても心に沁み込んでくるのです。nakabanさんの絵が、著者に深く寄り添っているのも見逃せません。

もう一つ、この本で取り上げられた本は私の愛読書が多く、さらに当店でもお好きな方の多い作家ばかりなのです。星野道夫、須賀敦子、メイ・サートン、石牟礼道子、谷川俊太郎、永井宏、今村夏子、宮沢賢治、高橋源一郎、武田百合子、庄野潤三、ブローディガン、アーヴィング、そしてブルース・チャトウィン等々。

著者の書物に対する真摯な、奥行きのある文章を前にすると、私の書くものの未熟さばかりが目立ってしまいます。最もリスペクトしている星野道夫がトップというののも嬉しかったのですが、星野の本質をこんな風に書かれています。

「星野道夫は、終始<失われていくもの>の側に立ち続けた人であった。その土地に根付く自然や文化、風習を根こそぎ破壊していく西洋文明には懐疑的であり、何千年も前から引き継がれた先住民の偉大な智慧とそれをいまに残す人に、心からの敬意を払った。」

メイ・サートンを語る時には、茨木のり子の詩を重ね合わせ、彼女たちが見つめた孤独をこう書いています。

「一人でいることが淋しいのではなく、その淋しさを紛らわそうとする心が淋しいのだと、この東西の女性詩人たちは考えていたようだ。」

と、こんな具合で書き出すと切りがないので、是非本を手に取って下さい。最後に一つだけ。本のラストを飾るのはエンデの「モモ」です。

「閉店後、誰もいなくなった本屋のなかに一人で立つと、自らの時間を取り戻した本が、小さな声でつぶやきはじめる瞬間がある。店のなかには、人が出入りし慌ただしかった日中とは別の時間に切り替わり、静かであるが濃密な空気が次第にあたりを満たしはじめる…….。」

同じ様な瞬間の体験、私にもあります。「小さな声でつぶやき」というより、本の呼吸している音が聞こえる瞬間が。店ってそうゆう風に育ってゆくのかもしれません。とにかく、幸せな読書の時間でした。本好きには最高のクリスマスプレゼントになこと間違いなし。ありがとう、辻山さん、nakabanさん。

★連休のお知らせ 12月17日(月)、18日(火)

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2019年1月18日(金)19時より、「新叛宮沢賢治 愛のうた」を出された澤口たまみさんとベーシスト石澤由男さんをお迎えしてトーク&ライブを行います。ご予約受付中(1500円)