絵画展の図録が、沢山入ってきました。ネットでは高値で売っているものもありますが、重たい、大きいというハンディを鑑み、割と安く出しています。

2011年京都で開催された「ワシント・ナショナル・ギャラリー展」(古書1300円)は、印象派がズラリと並び、西洋美術の教科書みたいな一冊です。ルノワール、モネ、ゴッホなどの作品が、左ページには全体像、右ページには作品の一部を拡大したものが載っています。ルノワールやセザンヌのデッサンなど、美術館で近づいて観たときのように、筆致がよくわかります。(きっと実際の展覧会は混雑していて一つ一つ近づいてじっくり見られなかったに違いない)ドガやカサットなど、年を取ったおかげで今になって改めていいな〜と眺めてしまいます。

2001年、東京と愛知県岡崎で開催された「カラヴァッジョ光と影の巨匠」(3000円)は、解像度の高い印刷技術で、この画家の世界を捉えています。「メランゴロをむく少年」では、白いシャツの間から見える少年の肌をクローズアップしていますが、艶かしい光沢を放っています。全編カラヴァッジョの強い光と陰を堪能しました。

フェルメールも2冊あります。「恋文」を収録した「レンブラント、フェルメールとその時代」(700円)と、「手紙を書く女」「手紙を書く女と召使い」「手紙を読む青衣の女」を収録した「フェルメールからのラブレター」(600円)は、来年大阪の展覧会に行く前には目を通しておきたいものです。

日本の画家の図録では、2007年、横浜と島根で開催された「有元利夫展 光と色・想い出を運ぶ人」(900円)があります。堂々とした女性像を中心に据えた独特の画風で知られた画家ですが、この図録には、素描、版画、立体等の作品も入っています。音楽が好きで、様々な楽器を演奏した有元が、ビバルディの「四季」をモチーフに作った版画は、ビバルディの楽曲への深い理解と賛美が根底にあります。夭折した画家の豊かな表現をみることができます。

竹内栖鳳、伊藤若冲、長谷川等伯、藤田嗣治、河鍋暁斎、海北友松、藤田嗣治、等々日本画壇を代表する画家たちの図録もありますが、実は私が最も気に入った図録は、2006年高島屋グランドホールで開催された「没後50年 モーリス・ユトリロ展」(800円)。あまり興味もなかったユトリロでしたが、今回パラパラと捲っているといい気分になりました。ちょっと散歩にでも行きたくなるような感覚。雪のつもった家々が見える町、春風が吹き抜ける目抜き通り、青空が眩しい田舎の乾いた道…….。どの街角も歩いてみたくなる魅力一杯です。

まだまだありますので、お気に入りの一冊を探してください。

 

★年内は12月30日(日)まで営業いたします。年始は1月8日(火)より通常営業いたします。

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2019年1月18日(金)19時より、「新叛宮沢賢治 愛のうた」を出された澤口たまみさんとベーシスト石澤由男さんをお迎えしてトーク&ライブを行います。予約受付中(1500円)レティシア書房075−212−1772