本日で「夏の古本市」は終了です。毎日、古本市に出品されている本を紹介してきました。各お店から、本が届くと、これは店で買おうととか、自分で読もうかと思う本が沢山あります。しかし、古本市が終わりに近づくに連れて、そんな目星を付けておいた本は、ほぼ買われているのが現状です。(まさか、初日から当店が抜くわけにもいきません)でも、それでも残っているのもあり、お〜ぉ、残っていてくれたのかと、買ってしまいます。で、本日は今回ゲットしたものをご紹介します。

村上春樹のギリシャ・トルコ辺境紀行を、ギリシャ編、トルコ編に分けて、松村映三の写真と一緒に収録したのが「雨天炎天」(らむだ書店/新潮社)です。春樹の紀行は、どれも良くて、私は長編小説より好きです。本作も、文庫本では読みましたが、箱入り2冊セットものは、あまり見ません。北部ギリシャからトルコ最深部へと旅する作家と写真家のハードな旅をまとめたものです。修道院に泊まりながら、ひたすら歩くギリシャ編、その一方で四駆の車で埃だらけの街を疾駆して、兵隊と羊がやたらと目立つトルコ編。喉が渇いてくる辺境踏破物語です。

 

「京都市中京区の千本通りで、千本座という小さな劇場を営む牧野省三は、巡業映画の横田商会を営む横田永之助から映画作りを頼まれた。明治四十二年十月十七日早朝、牧野の数人の撮影隊は、劇場裏の大超寺の境内で横田がパリで買い求めたパテのカメラを回し始めた。」

これ、都筑正昭著「シネマがやってきた」(町家古本はんのき出品/小学館)の一部分です。映画機材が日本に入ってきて、日本映画の曙とも言える時代が始まります。そんな時代を走り抜けた愛すべき活動屋たちのドラマを描いた一冊です。小説並みに面白い!

 

えっ。こんな表紙で、この作家の本??と不思議に思っていたのが、小沼丹の「お下げ髪の詩人」(葉月と友だち文庫出品)です。ユニークで、文学愛好者にはファンの多い幻戯書房が出版したもので、小沼の未刊行少年少女小説集です。1950年代から60年代にかけて少年少女雑誌に発表したものを中心に組まれたアンソロジーです。渋い小説の多い小沼のみずみずしい恋愛小説って興味湧きませんか? また、表紙も小沼らしくないところがいいです。

 

連日38度という猛暑の中、お越しいただいたお客様、お忙しいところ選書していただき、本をお送りいただいたお店の皆様、本当にありがとうございました。当店は、明日より23日までお休みさせていただき、24日より「新・荒野の二人展」が始まります。こちらも、よろしくお願いいたします。