講談社がシリーズで出版している「17歳の特別教室」。執筆陣は瀬戸内寂聴、京極夏彦、磯田道史などトップクラスばかりです。このシリーズに高橋源一郎の「答えより問いを探して」(古書900円)があります。これが、面白いのです。

独自の教育方針で運営する和歌山県「きのくに国際高等専修学校」で、2018年6月10日と11日に行われた特別授業を単行本化したものです。

高橋先生は生徒たちに先ず、こう言います。

「たいていの学校では教科書で正解を勉強して、後でテストに正解を書くと100点がもらえるでしょう。文学と哲学はそういうことはしません。それが『問いを探して』ということです。ぼくはそれがいちばん大切だと思っています。」

さらに続けて、「誤読」という言葉はおかしいんじゃないかと言います。正しい読み方が一つで、それ以外は間違いなんて。作家である高橋先生は「そこに書かれている文字はどんなふうに読んでも自由なんです。作者さえ気がつかなかったことに読者が気がついて、作者のぼくが影響を受ける。」それでいいんだと。

生徒たちは、常識と全く違う授業に驚きながら、何だか面白そうと、先生のペースに巻き込まれていきます。先生は、鶴見俊輔や、吉本隆明など17歳にはちょっと無理かもと思われる作家も俎上に乗せながら、彼らに理解できるように授業を進めるのですが、大人の私たちもぜひ拝聴したくなってきます。

私たちも忘れてはならない文章がありました。

「何かが『正しい』、あるいは『常識』だと考えているといっても、なぜ、それが『正しい』のか、とか、なぜ、それが、『常識』なのか、とまでは考えないですね。というか、考えないから『常識』ということばになっちゃう。気をつけなきゃいけないですね。『常識』ということばが出てきたら。」

17歳の生徒たちに混じって、私たちも頭の中を切り替えてみませんか。