「徒党を組まず、何者にもおもねらず、孤独と背中合わせの自由を生きる歌手」友川カズキのエッセイを集めた「一人盆踊り」(ちくま文庫/古書700円)は、面白い。詩人として画家として、または俳優として活動する彼の独特の文体。酒に浸る日々の中から飛び出す心の叫びが迫ってきます。

又吉直樹が「悟らず狂わず愚かであり続ける覚悟を決めた人ほど強いものはない。美しい魂。乾杯。」と帯に書いていますが、これ以上、この本の魅力を語ったものはないと思います。

高校時代「おまへはなにをして来たのだと……..吹き来る風が私に云ふ」という中原中也の詩句に打ちのめされた彼は、詩を書き、曲を付けて歌い出します。もちろん、それだけで生活できるわけもなく、土方など日雇いで稼ぎながら全国を放浪し、ギターを鳴らして来ました。1950年生まれですから、今年69歳。それまでの人生には最愛の弟、覚の自殺もありました。当時をこう振り返ります。

「仕事を終え、一列に並んで金を貰い、アパートへ帰って来て安酒をあびるほど呑んでゴロンと寝、また同じ朝だ。冷蔵庫もフトンも何も無かった。雨の降った日はどちらかが喫茶店へ行き夫々本を読んだり詩を書いたりした。誰からもどこからもはねっ返りのない生活と詩を抱え途方にくれ、酒を飲んでは荒れていた。自分の視点も生きる基盤も定まらぬまま覚を叱り殴り付けていた。」

友川はその後、個展を見てくれた美術評論家洲之内徹の知遇を得て、「芸術新潮」で取り上げられ、独特の作品でさらにファンを増やしていきます。この文庫にも何点か収録されています。一方で、中上健次の「枯木灘」に衝撃を受け、彼に接近していきます。そして、会えば、酒浸りの日々です。

「人と会う度、心のどっかで格闘に似た感情がむくりと起き、酒量が嵩むに連れ、それが抑えがたくついにはあたりかまわずぶつかってしまう。ここ十年くらいそんな風にばっかりやってきたから、すがすがしい朝なんかなかった。」と思い返しています。

しかし、彼が単なる自堕落な酔っ払いではなく、心の奥底から出てくる言葉を書き留め、それを歌って来たのは間違いありません。

「呑んだくれて呑んだくれて重なり合っていくのじゃなく、また机の前で紅茶を呑みながら頭をひねって生む何かでもなく、いつだって最後の最後の力で、精一杯地面の上に棒っ切れで大きく書く、その行為とその言葉で重なっていかなくてはいけないと思う。」

ところで、シンガーとしての友川のこと知らない人でも、あぁ〜あの歌かというのがあります。1977年の紅白歌合戦で、ちあきなおみが歌った「夜へ急ぐ人」。これは友川がちあきに提供した曲でした。youtubeでちあき版も、最近の友川版も聴くことができます。本当に、いい曲です!

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