30年ぶりに、個人的には傑作と思っている映画にDVD で再会しました。それは、ジョン・フランケンハイマー監督「5月の7日間」です。政治サスペンス映画の名作です。アメリカ軍部の最高司令官が、米ソ軍縮条約を結ぼうとする大統領を糾弾し、軍部クーデターを起こして政権を奪取しようとするのですが、画策に気づいた軍人ケイシーが、大統領とその仲間と共に阻止しようとする物語です。

クーデターを起こそうとする最高司令官をバート・ランカスター。それを阻止しようとする部下の軍人をカーク・ダグラスという戦後派の俳優が、自らのプロダクションを作り、新しい感覚の監督を招聘した野心的作品でありながら、ハリウッド映画として商売にもなる映画として製作しています。

この流れは、数十年後、ロバート・レッドフォードがダスティン・ホフマンと組み、ウォータゲート事件でニクソンを追い込んだワシントンポストの二人の記者の活躍を描いた「大統領の陰謀」へと繋がり、近年ではスピルバーグが、トム・ハンクス・メリル・ストリーブと組んだ「ペンタゴンぺーパーズ」へと受け継がれていきます。どれも悠長な展開を廃し、ドキュメンタリータッチで組み上げてゆく作品ばかりで、面白く、何度見ても飽きません。「大統領の陰謀」は10回以上見ているかも知れません。

アメリカという国家を、一つだけ羨ましいと思うことがあります。それは、映画の中で合衆国憲法のことがフツーに出てくるのです。「五月の七日間」では、大統領がケイシーと憲法論議をし、彼が憲法を変える必要はないと言明するシーンがあります。また「大統領の陰謀」では、「合衆国憲法修正第1項」が、表現の自由だということを教えてくれました。

得体の知れない細菌でバタバタ人が死んでゆくダスティン・ホフマン主演の「アウトブレイク」では、危険な細菌が蔓延した街を核兵器で消滅させるという軍部の提案を受けるかどうかという会議で、副大統領がやにわに小さな憲法本を取り出し、「これはアメリカ合衆国憲法だ。どこにもアメリカ人を殺していいとは書いていない!」と叫びます。

本筋とは直接に関係のないところで、自国の憲法が顔を出すって、いい事ですね。日本の商業映画で、会話の中で日本国憲法が出ることは滅多にありません。国の骨格となる憲法が、市民の観る映画のなかで生きている、そのことは高く評価しています。

 

 

お知らせ コロナウィルス感染拡大の緊急事態により、これ以上感染者を出さないために次週4月23日(木)より当面休業いたします。予定しておりましたギャラリーの個展もしばらくの間お休みいたします。この「店長日誌」は毎日更新していきますので、読んでいただけたら嬉しいです。また、休業中でも店で作業していることがあります。その時は半分店を開けていますので、ご用があれば声をかけてください。(日程は店長日誌にてお知らせします。)

いつもお世話になっている「榊翠簾堂」さんが、疫病退散の御札を送ってくださいました。イラストレーターちばえんさん作「妖怪アマビエ」。平穏な日常が戻りますように。