コーリー・スタンパー著「ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険」(左右社/新刊2970円)は、300数十ページある分厚い本です。

アメリカで最も歴史ある辞書出版社メリアム・ウェブスター社の編纂者による英語の奥深さを教えてくれる一冊です。そして、本好きのオタク心をときめかせてくれます。

著者は「わたしは大して文学的素養のない、ブルーカラー家庭に長子として生まれた、本が大好きな子どもだった。」らしいです。しかし、幼少の時から言葉が大好きで絵本だけでは飽き足らず、カタログまで読み漁っていました。「言葉に食らいつく」ような恐るべき子どもだったそうです。

それが成長して、「彼らは言葉のオタクであり、その人生の大半を、辞書の語釈を執筆したり編集したりことや、副詞について真剣に考えることに費やし、ゆっくりと、容赦なく視力を奪われていく。それが、辞書編纂者だ。」という業界に入っていきます。そして、忍耐力と好奇心のみがエネルギーとなる仕事に従事します。その日々の業務がつぶさに語られます。

辞書の話といえば、三浦しおんの「舟を編む」が有名ですが、あれは日本語辞書の世界。こちらは英語という言葉の海です。英語が現在使用されている形で、一言一言分析し、分類する。それを365日休みなく繰り返すという、究極の地味仕事です。本書は、一つの単語が様々な意味に変化し、多様性を持ちながら進化してゆくことを、多くの例文を挙げて解説しています。これは英語の参考書ではありません。英語研究者の本でもありません。池澤夏樹が「辞書の側から見た英語がこんなにおもしろいとは!言語は子どもである。行儀よくと願って育ててもどんどんワイルドになってゆく。」と推薦の言葉を書いています。

「なにかを読むことが好きなだけじゃなく、読み出したら止まらないこのわたしがーバスに乗れば広告を読み、次にポケットに突っ込んだレシートを読み、最後は他人の肩越しにその人が読んでいるものを読んでしまわずにはいられないこのわたしがー読むことでお給料をもらえるなんて。この仕事はやばい、もう最高」とその喜びを語っていますが、もうオタク丸出しですね。

ところで、皆さんは英語がいつから世界の公用語になっかご存知ですか。本書によれば「15世紀半ばに至るまで、英語が意想伝達や公文書に用いられうる、恒久的な言語だと思っていいる人なんていないのも同然だった。」のが史実です。しかし、1547年、ヘンリー5世が突如として英語を公的な書状に使い始めて以来、それまで言語の王位にあったラテン語、フランス語を駆逐してしまったのです。このように学校では教えてくれない英語の歴史をを知ることができます。

例えば、今フツーに使用している”tweet”(ツイート)という言葉は、20数年前には、「鳥の嘴からこぼれるもの」という意味でしかなかったのです。こういう事実を知ると、言葉って面白い!という思いが湧き上がってきます。

 

お知らせ 

6月より、営業日・時間を下記のようにさせていただきます。

月曜、火曜定休 水曜日から日曜日まで 13時〜19時に変更いたします。また、ギャラリーの企画展は6月下旬からのスタートを予定しています。度々の変更でご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いします。

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