さて、映画館が頑張って安全対策をとっていることがわかり、こちらも久々の京都シネマ。理想の農場をつくるために奮闘する夫婦のドキュメント「ビッグ・リトル・ファーム」を観てきました。

野生動物のカメラマン、映画製作者として活躍していたジョン・チェスター(本作の監督)と、妻で料理家のモリーは、殺処分寸前で保護した愛犬のトッドと都会で暮らしていました。が、トッドの鳴き声が原因でアパートを追い出されてしまいます。愛犬のため、そして、本当に体にいい食べ物を育てるため、郊外へと移り住むことを決心します。

しかし、購入した200エーカー(東京ドーム約17個分らしい)の土地は荒れ果てた農地でした。

彼らは、有機農法を基本とした自然と共生する農場作りのため、ノウハウを持っている人をインターネットで探し出し、アラン・ヨークを雇い入れ、彼を師匠と仰ぎ、土地の改良を開始します。映画は、彼らの農場作りの第一歩から撮影されています。植物も生えていなかった土地が、豚、牛、羊、鶏など多くの家畜たちとともに少しずつ良くなっていき、やがて野生の生き物たちも集まってきます。ここでは、植物も、農産物も、家畜も野生動物も、全てが手を取り合いながら、一つの生態系を形成してゆくことを目的とされています。見るも無残だった土地が、美しい風景へと変貌していきます。

しかし、自然はそう簡単な相手ではありません。害虫の発生、家畜を狙うコヨーテ等々、農場の存続を脅かす問題が次々に襲ってきます。ある日、ジョンは農場内に侵入したコヨーテを撃ち殺します。死んだコヨーテの表情を真正面から捉えたとき、ジョンはコヨーテは無用の存在だったのか、と自らに問いかけます。

そうではなかったのです。そのことを、後半映画は語っていきます。コヨーテも生態系の中で、生きる目的が存在したのです。野ネズミに散々、農作物や果物を食い荒らされて頭を抱えたこともありましたが、やがて農場にはフクロウや猛禽類が住み着くようになり、野ネズミを捕食してくれるのです。しかも、その野ネズミにさえ生きる目的を自然は用意していたのです。全ては、つながって回ってゆく、その大きな自然の流れを、美しい映像が見せてくれる90分です。

オリジナルタイトルは”The Biggest LittleFarm” ”The Biggest”は、最も大きな生態系を回している地球であり、”Little”は、その大きな生態系のほんの一部を再生した農場という意味だと、私は思いました。