2019年、小澤みゆきさんが「かわいいウルフ」という雑誌を出されました。イギリスを代表する作家ヴァージニア・ウルフを多角的に論じた文芸雑誌です。ヴァージニア・ウルフを「可愛い」で括るって凄い!と思っていたのですが、なんとソールドアウトでした。

小澤さんが新たに編集したのが「海響」(1650円)です。第一号の特集は「大恋愛」。

「自分はなぜ文学が好きなのか。何年も飽きずによく読んだり、書いたり続けていると思う。私は多分、根本的に、愛したり、愛されたりすることしか興味がないのだ。人を愛することの喜び、そのときめきを何度でも知るために、私はページをめくってきた。新しい本を作ろうと思ったとき、まずはこのことについてまとめておきたいと思った。」

そして、もう一つ。

「ヴァージニア・ウルフという作家が、いかにフェミニズムにとって重要で、大切にされているかを。ウルフだけではない。親しんできた女性の書き手たちとその作品について、そういった視点から改めて読み直す必要があると感じた。」

女性作家の書いたテキストを読み込み、その言葉と向き合い、小澤みゆき自身のフェミニズムを考えてゆくことことを、この雑誌は目的にしています。

「小澤みゆきと十三人の恋すること」と題して、様々な女性作家が紹介されています。マーガレット・ミッチェル、ゼルダ・フィッジェラルド、ヴァージニア・ウルフそしてアンネ・フランクなどが登場します。その中で、私の愛読書でもありアメリカ文学の傑作カーソン・マッカラーズ「心は孤独な狩人」が紹介されています。アメリカ南部にいる聾唖の男性をめぐる物語です。残念ながらこの本は現在、古本、しかも高価でしか入手できません。

これからも海外作家だけで企画を組んでゆくのか、国内の作家にも目を向けてゆくのか、定かではありませんが、きっと興味深い雑誌になることでしょう。