「オフィシャル・シークレット」は文句なしに面白い映画でした。

南アフリカ出身の監督ギャヴィン・フッドは、前作「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」では、ユニークな視点で、戦争映画を作り出しました。ドローン攻撃によって持ち上がる道徳的問題、倫理的問題、法律的問題をサスペンス風味豊かに描いた傑作でした。

本作「「オフィシャル・シークレット」」の舞台は2003年イラク開戦前夜です。イギリス諜報機関GCHQに勤務するキャサリンは、アメリカの諜報機関NSAから送られてきた極秘メールに愕然とします。それは、国連安全保障理事会に属する複数の国家へのスパイ活動の指示書でした。そのままにすることができなかったキャサリンは、知人の活動家を通して「オブザーバー」紙に、情報をリークする決心をします。映画はここから、キャサリンの行動と彼女が巻き込まれる裁判を描いていきます。実話なので、当然当時のブレア首相や、ブッシュ大統領の映像がバンバン挿入されています。エンディングには主人公本人も登場します。

大義なき戦争に遮二無二突っ込んでゆくブッシュ政権と、その神輿に乗ってしまったブレア政権。誠意のかけらもない大国のエゴに、たった一人でたちむかう女性という構図は極めて映画的ですが、ギャヴィン・フッドの演出術は冴えに冴えています。サスペンス映画の王道を進みます。誰が見ても、当時のポリティカル状況が容易に理解できる作品に仕上がっています。

こういうリアルな政治映画を作ろうとした監督に、それなら金を出してやると名乗り出たプロデューサー、そして作品を拍手で迎えた観客。このこと自体が映画界にとって幸せなことだと思います。

仕事を途中で放り出して、第一線から逃げ出したように見える首相の数々の大ウソを、いつの日か、登場人物みんな実名で映画化できる日を期待しています。