京都シネマで上映中の、期待度大のドキュメンタリー映画「ようこそ映画音響の世界へ」を観てきました。「映画音楽の」ではありません。「映画音響の世界へ」です。

映画には、役者のセリフ以外にも多くの音が存在していることをご存知ですよね。屋外ロケなら、車の走る様子、人の話し声、信号機など町の音や、自然の奏でる、例えば川のせせらぎや風の音などが背景に流れています。室内なら靴音や食器のぶつかるカチャカチャという音、赤ん坊の泣き声等々。また、アクション映画には、銃撃音や爆破音、殴り合いの様子、SF映画ならば、宇宙船やロケットのエンジン音や宇宙人の声等々、音響を担当する音響デザイナーがいなくては映画は成立しません。試しに、DVDなどで映画を観る際に、音をオフにしてみたら随分印象が変わります。映画をより密度の高いものにするための技術者が音響デザイナーです。

1927年に初めての本格トーキー映画『ジャズ・シンガー』が誕生。それ以降、映画音響は様々な形で進化しています。本作では、ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、ソフィア・コッポラ、デヴィッド・リンチ、アン・リー、クリストファー・ノーランなど、独創的なスタイルを持つ映画監督たちが、作品における音へのこだわり、音響の芸術性を語っています。そして彼らと組んできた音響デザイナー達が、それぞれの現場で苦労の末にどれほど素晴らしい”映画の音”を作り出してきたかを、具体的な作品を示しながら尊敬を込めて振り返っています。「ゴッドファーザー」も「地獄の黙示録」も、何度も観ている映画ですが、音響という視点でもう一度観てみようと思いました。

ハリウッド全盛時代、各スタジオは音響にはほとんどお金を使わず、すでに使用してきたものをくり返し使ってきたのだそうです。西部劇では、どの映画でも銃撃音が一緒だったという例も登場します。
そこに、革命的手法をもたらしたオーソン・ウェルズやアルフレッド・ヒッチコック、さらにビートルズが映画音響に与えた影響、そして最近のSFX技術とともに更なる進化を遂げる姿を描いていきます。「スターウォーズ」で人気のキャラクター、チューバッカの声が出来上がるプロセスも興味深いです。
監督はミッジ・コスティン。本人も音響デザイナーとして活躍し、数々の賞を受けています。女性の視点で、この業界の多くの女性達の活躍を描いています。嬉々として仕事をしている姿がとても素敵でした。じいさん内閣を立ち上げた首相にもお見せして、勉強をしていただきたいものです。(写真はコスティン監督)