2016年に立ち上がった出版社スタンドブックス。代表を務める森山祐之さんは、雑誌「クイックジャパン」(太田出版)編集長、「マンスリーよしもとPLUS」などの編集長を経て独立。サブカル系がメインかと思いきや、幅広いジャンルで面白い本を出しています。

最新の増田薫著「いつか中華屋でチャーハンを」(1760円)は、3度目の入荷です。著者は「思い出野郎Aチーム」というバンドのメンバーで、定番を少し外れた視点から美味を探し求めるグルメ漫画エッセイです。中華屋さんで「ラーメン、チャーハン、ビール」しか注文しない人には、必読です。大阪のあんかけカツ丼なんて、あぁ〜濃ゆそう!!ですが、食べてみたいです。

2019年に出たスズキナオ著「深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと」(1892円)は、そのタイトルに惹かれて初回入荷の時に読もうと思っていたのに、すぐ売れてしまい、今回やっと読みました。笑えます!!「カップヌードルに入れるとおいしい漬け物を検証」なんて、その真剣さに拍手です。因みに、最もおいしい、という声が高かったのが「東海漬物『白菜漬け』」とのことです。こんな話が満載なのですが、社会学者の岸政彦は「これが生活史」だと絶賛しています。地べたから見た小市民の生活の匂いが漂っています。

どちらかと言えば、サブカル的な書籍に対して、山本教行著「暮らしを手づくりする」(2200円)は、鳥取の山間で「岩井窯」を営む山本教行さんの日々を写真とともに綴ったエッセイです。この窯元は、年間1万人ものうつわ好きが通ってくるところだそうです。柳宗悦が唱えた民藝運動の思想から、暮らしの手仕事の美しさに惹かれ、「その考えに共鳴した僕は、自分なりの美しい暮らしを作ろうと考えてきました」と書いています。毎日決まったリズムで暮らし、器を作るミニマムな生活がここにはあります。こちらも、初回入荷時、ブログに載せる間もなく売れてしまった一冊でした。

この出版社の本で、過去にブログに紹介できたのが寺尾紗穂「彗星の孤独」(2090円)の本でした。音楽ファンならご存知でしょうが、彼女は「シュガーベイブ」でベースを担当していた寺尾次郎の娘です。音楽家としても活動しながら執筆を続けていて、朝日新聞の書評委員として多くの本を紹介してきました。自分を見つめ、社会を見つめる視線は優しく、そしてとても厳しい。因みに女性書評家として私が信頼しているのが、寺尾と森まゆみ、斎藤美奈子です。