宮沢賢治原作・ますむらひろし 作画による「銀河鉄道の夜 四次稿編」全4巻予定の第1巻が発売されました。(有限会社風呂猫/古書1500円)ますむらは、賢治の作品を数多く漫画化し、根強いファンを持っています。

ますむらは、1983年に登場人物を猫に置き換えて漫画化し、アニメの原案になり、このアニメは質の高さから大きな反響を呼びました。その2年後、「銀河鉄道の夜」の初期形である「ブルカニロ博士編」を漫画化しました。(偕成社/古書2900円)

さらに、2020年に再度の資料調査を経て、細部にこだわった「銀河鉄道の夜」の21世紀版の連載が始まりました。カラーページのみずみずしい彩色が目に飛び込んでくる第1巻が完成しました。今までも、かなり精密に描き込んできたのですが、さらに細部にこだわった画面になっています。

本書の解説によると、全部で600枚を越す大作になるとのこと。第1巻は、ジョバンニが夜の軽便鉄道に乗り込むまでの、物語の序盤が収録されています。そして第2巻の発行は2021年春、第4巻の発行は2025年になる計画です。

それにしても、ますむらは、なぜここまで「銀河鉄道の夜」に拘るのか。

「それにしても、つくづく思うのは、この作品は霧に包まれた山脈のようで、全貌を描ける者は賢治しかいない。『描いてもけっして描ききれず、奇妙な輝きと深遠な闇が、ニッタラと微笑む幻想第四次空間』。何とか少しでも捉えたいと、五年前から三度目の作画挑戦を開始した。」

とその動機をあとがきに書いています。

「銀河鉄道の夜」は、私も繰り返し読んできていて、正月を迎える度に今も読んでいます。「霧に包まれた山脈」とは全くその通りで、理解できたと思った瞬間、物語ははるかかなたに逃げてしまうという不思議な世界。賢治の物語には、全てどこか捉えどころのない魅力があります。その深い世界の奥にあるものを、ますむらは捉えようともがいているのかもしれません。

壮大な物語の5年後の完成を願ってやみません。